在日外国人の人生
「旅をしていて、ここ住みたいなぁって思った国はある?」と聞かれることがあります。
「どこでも住めるなぁ」と答えることが多い。
しかし、それはあくまで一週間程度、滞在しただけの旅人目線です。
実際、住むとなったら、そんなわけにはいきません。
働く場所も含め生活サイクルを作っていかなければならないのですから。
そう考えさせてくれたのが、群馬県大泉町に滞在していた時のことです。
4万2千人ほどの町ですが、その2割、約1万人は外国人。
国別で見るとブラジル人が多く、「日本のブラジル」と呼ばれるほどです。
1割、つまり4千人ほどいらっしゃるのではないでしょうか。
ゴミの収集所など自治体の注意書きから八百屋の野菜表記まで、「ポルトガル語」が一緒に添えられています。
隣町の太田市から大泉町まで東武小泉線の車内で、対面に座った初老のブラジル人を見かけた時のことが忘れられません。
インスタントラーメンなどが入ったディスカウントストア「ドン・キホーテ」のレジ袋を横に置き、スマホの画面を眺めていました。
背中に夕陽を浴びる彼は様々なことを想像させてくれたのです。
大泉町にはスバルやパナソニック、味の素など大きな工場が多い。
その税収で潤ってきた町で、コロナ禍前までは不交付団体、
つまり国からの財政支援がなく、自治体の税収だけで行政を運営できる町でした。
その働き手の中心が彼らブラジル人だったのです。
日本で働けば、ブラジルで家が建つと夢見てやってきた人もいらっしゃったのでしょう。
しかし、バブル崩壊、リーマンショック、そして新型コロナなど様々な要因で思い通りにならないこともあったと思います。
その間にブラジルの親族もいなくなり、そのまま大泉町に住み、高齢者施設に入る人の話もうかがいました。
ポルトガル語を話す介護士の必要性など自治体も次のステップに入ったとおっしゃっていました。
豊田市でブラジル人が多く住む保見団地を舞台にした映画「ファミリア」を拝見し、再び考えさせられたのです。