死の淵を彷徨って戻ってくる経験をする前と後で変わったこと。
「耳」は死に至る最後まで機能している器官の可能性が高いらしい。
映画だったかテレビだったか、
ドキュメンタリーだったかドラマだったかは忘れてしまったけれど、
「耳は聞こえているから、話しかけてあげてください」
と医師が患者の家族に言っていたシーンがありました。
今、調べてみたら、2年ほど前、カナダでホスピス患者の脳波のデータを用いて証明する論文も発表されているようです。
俗に言う「死の淵を彷徨い、還ってきた」人とシュウマイをつまみに紹興酒を飲んでいました。
しかも2人。
一人は心筋梗塞、一人はバイク事故。
二人とも共通していたのは、救急搬送先のICUで
「ニトロ持ってきて!」など医師や看護師の声と、
「俺、死ぬかも」と思った記憶は鮮明に残っているらしい。
口はもちろんのこと、身体も動かないけれど、耳と脳は機能していた実体験を聞いた気がします。
二人のもう一つの共通点は、「死」を意識した前と後では、日常生活での「生」に対する意識が変わったこと。
一人は、「いつか好きなことをしよう」と思っていたけれど、「いつか」を取っ払い、「好きなことをしよう」と動き始め、夢だった写真展を開くことに精力を注ぎ、今年、実現させました。
もう一人は、「一日一日を大切に生きよう」と思い始めたことで、近所に自生する植物など自然に目が向くようになり、その様を写真に収め、一日一枚選んで、タイトルをつけ、SNSで発表し始めたそうです。
2人とも年齢的には僕の少し先輩ではあるけれど、同年代に近く、
彼ら以外にも周囲で大病を患って動けなくなった人や
今月、一つ年上の知人が急死するなど、
他人事ではなく、僕も、いつどうなるかわからないと感じることが多くなりました。
こういった人たちの話をうかがう度に、日々、丁寧に生きようと思うんですよね。
なかなかできないけれど。
死ぬ間際は、耳にイヤホンを入れてもらうようパートナーに言っておこうかなぁ。
医療機器に支障が出るからやめてくださいと言われそうですが。