足底筋膜炎へのアプローチのポイント
その発症は年齢を問わず、児童から高齢の方々まで様々です。
一重に足底筋膜炎と括ることはできません。
様々な原因が考えられますが、その中でも私の考えるアプローチをご紹介したいと思います。
まず10歳前後の児童に発症する踵骨骨端症(別名:セーバー病)は発達段階の踵骨骨端部分に炎症が生じ、踵骨骨端核(骨端軟骨の先端部分)の壊死、もしくは骨軟骨炎を発症する可能性があるものです。
主な原因はスポーツなどの運動を急に始めたことや、練習量が増えたことなどによるオーバーユース(過使用)が大きな原因と考えられます。
その為、急性期には安静を要するものと考えます。
筋力の強化と柔軟性の回復が再発予防と早期回復には欠かせないものですが、さらに私はここで足関節及び足根関節の正常化が必要だと考えています。
オーバーユースによって生じた踵骨骨端の炎症は、一時的にスポーツを休止すれば経時的に回復するものと思いますし、筋肉のケアとパワーアップを図ることはもちろん効果的ですが、その発症までの経過の中で筋肉のみならず関節に関わる構造には機能障害を起こしていることが少なくありません。
これは成人における広義の足底筋膜炎や踵骨棘(ショウコツキョク)においても同様だと考えます。
足関節は距骨を中心に脛骨と腓骨が関節面を形成し、その下部に踵骨、前方には舟状骨と立方骨、さらに前列に楔状骨と中足骨を配列し、内側縦アーチ、外側縦アーチ、前横アーチを保ちながら全身の加重を分散しながら地面からの反作用を受けて踏み出す力を下肢上方へ繋げていきます。
言わば足底筋膜炎や踵骨部でのトラブルはこのような力学構造の破綻といえる状況であり、慢性化した状態ではそのフレームから立て直しが必要であると考えます。
つまりは前述の骨同士の関節運動を回復させる必要があり、中でもそのKeyとなるのが内側楔状骨と第一中足骨、舟状骨が形成する関節、踵立方関節の3つであると考えています。
これら骨及び関節はそれぞれに該当するアーチ形成の要役を担っており、同時に関節のFixation(フィクセーション:可動制限)を生じやすいものです。
有効なアプローチの上、正しくフォローアップすることで慢性化からの回復と再発予防に貢献できるものだと考えています。
IMIC 石川貴章