その日が始まるのが、少し怖いのは。
少し肌寒くなってきた
そうみんなが考え始めたある日。
その日俺は飛行機に乗ってないし、乗る予定もないのに関西国際空港に来ていた。
そんなロマンチックな男に育った覚えはなかったが、どうやら俺は帰国する女の子を迎えに空港まで行くようだ。
空港まで行くくらいだから、「待ちに待った」日なのに、なんだか少し会うのが怖い気がした。
始まる前から終わるのを恐れていると言うと、少し臆病過ぎるだろうか。
それほどに、この日を楽しみに生きてきた。
あれほど「早く過ぎてくれ」と思った時間に、今度は「頼むから過ぎないでくれ」と縋り付くことになる。
関西国際空港第二ターミナル方面のバーガーキングは、俺がタイに行く時も、ジンバブエに行く時も、香港に行く時も、必ず立ち寄るセーブポイントみたいなものである。
そこでじっと時間が過ぎるのを待つ。
一滴一滴、点滴のように時間は染み込んでいき、やがてその時がくるだろう。
俺は、時間が早く過ぎて欲しいのか、はたまた過ぎて欲しくないのか、よくわからないような感覚になってくる。
時間は過ぎる。
それは俺の心臓が打つ限り、変わらないのだろう。
ならば、いっそ心臓が止まってくれたら なんて考えてもみたが、時間が動いてるから幸せを感じられるのだろうから、やっぱり俺の心臓よ、強く打ってくれ。
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