組織が内側から変容していくケース

小林さんとの対話の続き。

「誰かがその彼、彼女をフォローしてあげないと、組織構造に吸い込まれて、意味のある行動もただの浮いた行為で終わってしまいます。」

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社員という立場から「自社を変えていこう」としたときに壁にぶつかる、ということは普通に起こることだと思います。

今、私は学校組織開発ゼミというところでも、組織開発についてお伝えしていたりしますが、そこでも「一教師という立場から、学校を変えていこう」という場合に出てくる壁、という話はやはりあります。

切り口を変えれば「一個人として、社会を変えていこう」という場合も、壁がやはり出てくるだろう、と思います。

変容の火種を、いかに絶やさずに、広げていけるか。それは組織開発的なものに取り組もうとするときに、宿命的に出てくるお題のようにも思います。

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いくつかあるのですが、変容が、組織全体で行き渡っていくというときに、

★まず「一人の火種」は風で消し飛ばされやすい。だから、一人から、二人、二人から三人と、少人数ながらもチームが形成されていくとよい。たった一人で「孤独に戦う」のと「チームで愚痴を言い合ったり、励まし合ったりして取り組んでいく」のとでは全然違います。

★そもそも「時間がかかる」ということはある程度覚悟しておいた方がいいと思います。1年とかで組織がガラッと変わる、ということはあまりありません。5年の下積みがあって「最後の一年で一気にガラッと変わった」などはあるかとは思いますが。

★ピーターセンゲの「学習する組織」関連の本を見ていくと、多くの組織の変化の「ぶつかる壁」と、対処方法への示唆があります。

★急いでフォーマルな活動にコネクトしようとしないことです。インフォーマルな草の根活動を、社内で地道に展開していく時期と言うのが、成功の一つの鍵のように思います。

★フォーマルにコネクトすると、どうしても「売上は?利益は?」というところへのアカンタビリティが発生して、それで活動が止まってしまいます。インフォーマルということはつまり「手弁当」です。評価や収入に直結しない活動、ということになります。

★「評価や収入に直結しない」けれど、それでもなぜこの取り組みを進めたいのか?というBeを内省していくようなタイミングは必ずと言っていいほど現われてくると思います。

★組織の変容を進めていこうとすると「抵抗勢力」「無関心勢力」といった壁にもぶつかることが多いと思いますが、この時に「抵抗勢力を倒しに行く」「無関心勢力を正しに行く」といったアプローチになっていくと、これまた変容がスタックしやすくなります。

★抵抗する気持ちや状況、無関心である気持ちや状況などへの理解を深めていく・・・といったBeを内省していくようなタイミングが必ずと言っていいほど現われてくると思います。しかも、手弁当でやっているわけですから。

★しかし、これらの壁を抜けてくると「本当に組織が変わった」ということが起こることがあるのもまた事実です。そういうシーンをいくつも見させてもらってきました。

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これは簡単なことではない、と思います。小林さんが仰るように大変「勇気がいる」ことでもあると思います。ただ、簡単ではありませんが、不可能なわけでもない、と思っています。

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