サピエンス全史を読んで~2021年新年の抱負的なもの
明けましておめでとうございます。
今年も色々と仕事を頑張りたいのと、noteやYouTubeでの情報発信なども頑張っていきたいなと思っています。よろしくお願いします。
新年一発目は、年末年始に読んだハラリさんの「サピエンス全史(上巻)」から刺激を受けてのものです。
上巻の内容を自分なりに要約すると以下のようになります。
・人類(サピエンス)が、他の動物種(ネアンデルタール人なども含む)と違う進化を辿り地上の王者になったのは、筋力が他の動物より優れていたからではない。神話を共有し、組織として過ごすという能力(これを認知革命と呼ぶ)を獲得したからだ。それによって数十人規模が協力して狩りをする、といったことが可能になった。この革命はおよそ7万年前ほどから起こった。
・人類は東アフリカから瞬く間に世界中に広がった。人類の拡大と共に、大量の動物が絶滅した。狩猟採集のライフスタイルであった彼らは、部族内で緊密に協力する力をもつ一方、足手まといとなる弱者を口減らしするといった冷酷さも持ち合わせていた。
・紀元前9500年頃から農耕が始まった(農業革命)。この農業革命は大きく二つの面をもたらした。一つは種としての「数の繁栄」。人類種は、爆発的に人口を増やしていった。もう一つは「階層社会の出現」。生産されたものを寡占するエリート層と、朝から晩まで農業に従事しなければいけない農耕民の階層が出現した。平均的な農耕民の暮らしは、狩猟採集時代よりも、労働時間は長く、得られたものは少なかった。
・著者は「種として数が繁栄したからといって、種の中の一個体の幸福度が上がるわけではない」と主張する。人間の家畜となった豚などは、地上に生きる数を非常に増やしたが、家畜としてなぶられた「ある豚」にとって幸福だ、とはならない。人間も同じだ。
・認知革命後の「神話を共有する」という能力はずっと続いている。有名なハンムラビ法典は上層自由人、一般自由人、奴隷という明確な階層があったことを記録している。これは法であり、古代バビロニア人にとって共通の社会規範となる概念(つまり神話)だった。差別を前提として社会秩序を維持しようとする営みは、世界中で確認することができる。
・帝国主義と貨幣の出現によって、世界中はどんどんとくっついた。今や、人権や、自決といった概念(神話)は、国境を越えてグローバルな共通規範となっている。
非常に面白かったです。下巻を読むのが楽しみ。
自分自身は、数千年以上に及ぶ人類の「神話のアップデート」の渦中にいるのだな、とすごく実感されました。
自分が生まれてからのこの40年ほどだけでも、様々な概念、文化的規範がアップデートされてきました。
企業活動は、環境負荷にも配慮するべきである。
ジェンダーによって人間を差別してはならない。
皮膚の色によって人間を差別してはならない。
こういったことは、自分が幼少期には「常識」とはまだ言えないものだったように思いますが、この数十年だけでも、相当に変化があったように思います。
これからも「神話のアップデート」「文化のアップデート」は続いていくと思います。、
2020年はコロナ・パンデミックによって様々なことが揺り動かされましたが、これは、これらのアップデートを加速させる要因に一つになっているな、と感じています。
個人的に、アップデートが現在進行形で進んでいると考えているものは
「通貨の発行には金利を乗せるのが常識である」
「未来は科学的に予知可能であり、計画しうるものである」
といった神話です。
後者の神話は、量子力学の登場によって破られてきています。長年共有されてきた神話が、本当に変容していくのには、それなりの時間を要しますが、おそらく、30年スパン、50年スパン、100年スパンくらいで考えていくと、
ニュートン力学的な神話は、量子力学的な神話へと、移行していくのではないかと予測しています。
ユングや、ボームの出現は、その先駆けであったのだろうなぁと個人的に感じています。
「お金を借りるときは金利がついてくる」というのは、今の世界では常識になっていますが、これも時代が進んでいくと、
ハンムラビ法典にある「人間は生まれ持って、上層自由人と、一般自由人と、奴隷に分かれる」というのと同じくらい「古い神話だな」と、後世の人には思われるものになるかもしれません。
これについてはどこかで別途書きたいと思いますが、現在「お金」と呼ばれているものは、紙幣、データ、金利などの概念をごちゃっと一つにまとめたものです。
貨幣そのものは、交換に便利ですし、保存がきくというのも悪いことではないと思いますが(貨幣の保存機能にも批判はありますが)、この貨幣に「金利」というものがくっつくと、かなり異なった質のものになります。
僕自身は、自分なりにこれらの神話のアップデートに寄与したい、貢献したいなと思います。
これらの神話のアップデートも内蔵した実践知として「ヒューマンセンタード経営」という形で、実践しながら体系化していきたいなとも思っています。