石川樹脂工業では、ガラスと樹脂を掛け合わせた新素材を採用した食器ブランド『ARAS』を展開しています。「強く、美しい、カタチ。」をコンセプトに、“こだわりがある人の普段使い食器 ”を目指し、家庭の食体験をよりおいしく、より楽しくするため、素材、技術、カタチを一から考え直して開発しました。先進と伝統の技術が融合して生まれる、新しい食器です。
こんにちは、石川樹脂工業専務取締役の石川勤です。今回は、弊社を代表するブランド『ARAS』について紹介します。ブランドに込めた想い、コンセプト設計、ユニークなチーム形成……ひいてはブランドの思想を考え、形にしていくことが、人材の教育にも繋がっている。立ち上げてからまだ2年しか経たない若いブランドですが、「素材の力で世界を変える」を具現化するインパクトは十分に備えています。
ARASチームのメンバーである山中沙紀さんと水上絵梨香さんに話してもらいました。前編では「石川樹脂工業との出会いとARASの誕生について」、後編では「具体的なマーケティング内容とコンセプトの届け方について」。前後編を通じて、石川樹脂工業の盤石な組織づくりと人材教育を伝えることができればと思います。
ARASの中枢メンバーは石川樹脂工業と外部のスペシャリスト数名によって構成されている。内部からは二名(石川専務、水上さん)。外部からはマーケター(山中さん)、プロダクトデザイナー、ブランディングディレクター、グラフィックデザイナーが所属している。
石川樹脂工業との出会いとARASの誕生
2020年3月、ARASは誕生した。ブランドの構想は立ち上がったのは、遡ることその2年前。ちょうどその頃、二人の女性が石川樹脂工業と出会う。一人はドイツから、もう一人はインターン生として。時計の針を2018年の夏に戻す。
およそ1年間、山中さんはドイツから遠隔で人材と構造の地盤づくりを支えた。時を同じくして、大学三年生だった水上さんがインターンシップの2期生として石川樹脂工業へとやってくる。
何気なく参加したインターンフェス。当初、水上さんはどの企業にもインターンに入るつもりはなかったという。4、5社の企業が立ち替わりに1分間プレゼンをする中で、石川樹脂工業から石川専務が登壇した。「環境にやさしく、落としても割れない器」。Plakiraのプレゼンだった。
「主体的に考える」ための教育
2018年から採用しはじめたインターン制度。新卒から採用して、言語とマインドを習得させつつ、主体性を引き出しながら、リーダーシップを発揮できる社会人へと鍛え上げてゆく。父(会長)の考えを受け継ぎ、P&Gで学んできたことを落とし込み、一人ひとりが強い組織をつくり上げる。石川専務の考える“新しい石川樹脂工業”を育て上げるための重要な改革の一つだった。
その中で、ARASの構想が立ち上がる。
新ブランドを立ち上げる意義は何か。石川樹脂工業にとっての価値は何か。ユーザーにとっての価値は何か。社会的な価値は何か。侃々諤々の議論を重ね、新ブランドの在り方を模索した。
「足りないものは、経験値だけ」
ARAS誕生の裏側には一人のインターン生の成長と苦悩のドラマがあった。Plakiraのプロジェクトを進めていた水上さんに突如、白羽の矢が立つ。
「水上さん、ARASのリードお願い!」
まさかの大抜擢だった。
山中さんからのバトンを受け継いだ水上さんは、試練を乗り越え、さらに急成長してゆく。山中さんが産休に入った年末、世の中ではコロナウィルスの感染が広がりはじめた。世界は混乱し、誰もが先行きの見えない不安を抱えていた。その状況下、ARASは4ヵ月後にローンチを控えていた。
つくり手が一番のファン
半年間のインターンの中で、Plakiraを好きになり、ARASを好きになり、石川樹脂工業を好きになっていった。専務や山中さんをはじめ、チームメンバーのみなさんと一緒に働きたい、石川樹脂工業も自分が率先して大きくしていきたいと思った。一年目から経営者の観点で働ける現場は、普通はありません。そういう意味で、率先して働きたいと思える会社でした。
まとめると、とにかく「好き」だったんです。
ARAS誕生の背景には、山中さんの土壌づくりと水上さんの成長秘話があった。ARASは、食体験を豊かにする食器ブランドでありながら、人が育つ豊かな土壌となりはじめていた。
後編へつづく
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