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【ただの氷】かき氷の魅力がわからないやつはスイーツを語るな!

寒くなってくると食べたくなるのは~?(髪の毛をかけるように耳に手を当てながら)

そう、おでん。



じゃあ、暑くなってきたら食べたくなるのは~?

そう、かき氷である。



2020年ごろから空前の台湾スイーツブームだ。
料理はヘルシーでサステナブルが人気なのに、スイーツは真逆のカロリーお化け天国状態である。

豆花(トウファ)、台湾カステラ、なんだかんだで続くタピオカ……。
そして――かき氷である。



2019年ごろまでは韓国スイーツも非常に人気であったが、韓国スイーツの中でも人気だったのが……
そう、かき氷である。



台湾のかき氷は「刨冰」

韓国のかき氷は「빙수(ピンス)もしくは팥빙수(パッピンス)」

と、言うらしい(翻訳機能すごい)。



また前置きが長くなったが、今日はかき氷について語りたい。

まだ寒いが、これを読んでかき氷への熱い思いを滾らせよう。

俺たちの熱意で、かき氷を溶かそうぜ!(笑)

あの日あの時あの初夏の日、
「ただの氷」発言が飛び出した

それは初夏だった。

木々が青く燃え、まだ少し涼しげな風が時折頬をさっと撫でていく。

そんな昼下がりのことだった。



私はインターネットで「かき氷」について調べていた。言わずもがな仕事である。パッピンスのお店のライティングの依頼があったためだ。

公式サイトに掲載されている写真はどれも煌めき、フルーツの鮮やかな色が埋め尽くす。いかにも濃厚そうな発色のソースからちらりと覗くふわふわの氷は、画面に耳を近づければ「シャリシャリ…」とかすかに音を立てていそうだった。



私は思わず隣に座っていた同僚に声をかけた。

「このかき氷、めちゃくちゃ美味しそうじゃないですか?」

「本当だー!おいしそう」

「食べたい…今すぐ食べたい…」

「これって――いくらするんですか?」


!?
こっ……こいつ……何を言っている……。“美味しいものには金をかけよ”ということわざがあるじゃあないかッ!(ない)と、一瞬だけ違和感を覚えたが、平静を装う私。

公式サイトのメニュー表を見ながら答えていく。
「えぇと……、このイチゴのは1,200円で、こっちのメロンのは1800――」



「ええっ!?1,000円以上もするの?私、ただの氷にそんな出せない」



…は?



………………は?



私の記憶はここで途切れている。

この一件以来、同僚とはあまり話すことがなくなり、気づけば彼女は退職していた。


もしかしたら私は――プッツンとトサカに来てしまい――何か言い返してしまったのかもしれない。
(※無論この一文はジョークである。彼女の退職理由は私やかき氷事件とは一切関係ないので安心していただきたい。)

私は同僚から嫌われていたのか?

皆さんはどう思うだろうか。



少なくとも、基本的に社交辞令&世間話しか行われない職場において「これ美味しそうだな~食いたいな~」などと小学生のような感想を述べている人間に対して、ハッキリ言ってあまりに配慮に欠けた発言ではないだろうか?

……シンプルに嫌われていたのか?
と、一瞬だけよぎったが、おそらく嫌いなどという感情はなく、ただ思ったことを言っただけだと思われた。
私がどう思うか、とか1ミリくらい考えてほしかったが、まあそれはどうでも良い。


話を戻すが、確かに一部の人は「かき氷なんてただの氷に適当にシロップをかけて適当に切ったフルーツを乗せて阿保みたいに高く盛り付けただけだろ」と思っているのかもしれない。


しかし、すべてのものには意味があるのだ。

それは、哲学的な話でもなんでもなく、世界の物理法則である。
だから、目の前のかき氷が100円なのか1,200円なのか、必ず理由があっての価格なのだ。

では、かき氷が何でできているか考えてみよう。



・氷

・シロップ(ソース)

・トッピング(フルーツなど)



大まかにこんな感じである。

驚くほどふわふわ。
やわらかで繊細な口どけの、氷

店にもよるのは前提だが、かき氷に使われる氷はその辺の氷を削ったものではない。

天然氷を取り寄せる店もある。

おそらく専門店なら共通しているであろう点は、氷を溶かしてから削っているということだろう。

氷がキンキンの状態だとカチコチで真っ白だが、適度に溶かした氷は透き通っている。

この透き通った氷を使うと、ふわふわで口に入れた瞬間に溶けてなくなる食感が生み出されるのである。

しかも、なんかすんごい機械で削っているので、専門店などで食べるとふわふわ感が常軌を逸している。

素材感たっぷり!
濃厚で味わい深いシロップ

シロップは、たいていのお店が自家製である。

このシロップが要である。お店ごとに大きく異なり、非常に個性が出る。

基本的にはフルーツが定番で、当たり前だが産地や品質で厳選している。

フルーツを砂糖などと煮詰めて作る素朴なシロップもあれば、様々な香辛料やチーズクリームなどを駆使しているお店もある。

“ティラミス”や“チーズケーキ”などのスイーツをかき氷に落とし込んだものもあり、とても楽しい。
かき氷と言えば激しい色をしたイチゴ・ブルーハワイ・レモン・メロンだけだと思っている人がいたら早急にアップデートしてほしい。

氷に染み込ませるシロップと、上にかけるシロップを変えることもある。
とにかく繊細なのだ!
なんてったって、白くふわふわの愛らしい氷の姫が纏うドレスなのだから。

「映え」に必要不可欠!?
見た目も食感も楽しいトッピング

トッピングといえば、フルーツやアイスが定番である。

アイスだってその辺の業務用アイスではなく自家製のお店もある。

焼き菓子が乗っていたり、お酒がかかっていたりするのだ!

もちろん「映え」を意識した盛り付けもポイント。とろ~り感やドドン!感など、かわいらしさ・インパクトなどお店独自のシズル感で、別腹をくすぐってくる。

ソースと氷だけではなかなか出せない食感の違いもトッピングが叶えてくれる。

サクサク・プルプル・じゅわ~…想像するだけで涎が止まらない。

ドレスだけでなく、煌びやかなアクセサリーや素敵なティアラが氷の姫君をより華やかにする。
和テイストなのもイイ!

こりゃもう写真を撮らずにはいられないだろう。

かき氷とは総合芸術

つまり!

かき氷とは、“ただの氷”が生み出す魔法である。
美味しいエルサである(?)。
苺の可愛らしいドレス、南国リゾート感あるマンゴーのドレス、まろやかで個性的なチーズケーキのドレス、大人らしい葡萄のシックなドレス……どんなドレスでもたちまち着こなしてしまう!

氷は水の味しかしない。そして溶けやすい。
だからこそ、どんな素材でも似合うのだ。
どんな味でもバッチコイ!
ふわふわの氷が纏えば、すべてが美味しく素敵なかき氷という魔法になる。

茹だる夏に凉をもたらす最強のサマースイーツなのである。
かき氷なくしては夏を語れない!
さながらTUBEのようである。(喩えを乱立させるな!)


私が伝えたいのは、かき氷に限らず、すべてのものがこだわって作られている。だから、すべてのものが「ただの●●」ではないということだ。
みんな特別である。
もともと特別なオンリーワンなのだ。

最後に、どんなに安価でチープなものでも、コスト削減のためにあらゆる手段が使われていることも忘れないでほしい。

今回は専門店で食べられるかき氷について熱弁してきたが、赤城乳業さんやフタバ食品さんや森永乳業さんなどの企業が販売している100円くらいで買えるかき氷も素晴らしい。

なんであんな美味しいのだろうか。

しかもめっちゃ安い。

頭が下がる思いである。

手軽に美味しいかき氷という最強スイーツを販売してくれてありがとう……。
一生ついていきます……。

今回の、同僚の「かき氷はただの氷」発言は、美味しいかき氷はコンビニで買えるのだから、高いお金を払って食べるかき氷は高級で手が出せないということだったのだろう。
確かにコンビニで買えるかき氷も年々進化し、とうとうふわふわ食感の再現率を高めてきている。

だいたい、彼女だって三度の飯より好きな食べ物があり、それを私が「ただの小麦粉じゃん」など言ったら気分を害するくせにと思ってしまう。



これでもなお「ただの氷」だと言うのであれば、私は彼女にこう言いたい。



お前は路上に積もった雪や冷凍庫にできた霜にシロップかけて食っておけ!!!

~ fin ~

※事件の内容については真実ですが、実際の団体とは一切関係ありません。

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