【小話】そっちじゃない
月の案内人は一旦お休みして
今日はわたしが実際に体験したお話しを
しようとおもいます
こわいおはなしですよ…
洗面所で歯磨きしていたらふと
風呂場が気になった
うちの風呂場のドアはすりガラスで
開くと2枚の扉がじゃばらに折れる
さっきまで妹が入っていたから
すりガラスが曇っていて
ぼーっと見ていると右側の扉に
こぶしほどの大きさの顔が浮かんで見えた
泊まったホテルでも似たような事があったから
余計にこわくて歯を磨きながら
じっと眺めていたら
陽気な母が洗面所に現れた
あの曇ったところが顔に見える、と伝えると
陽気に風呂場に入り扉を閉めて
泡をつけて水で流したが消えなかった
母よ、わたしから見て右側の扉なんだ
…でもありがとう
ね?こわかったでしょう。
母の天然ぶりが。
でもたかがすりガラスが曇ってるだけで
びびっている娘を安心させようと
パジャマ姿で窓拭きを始めた母は
めちゃくちゃ頼れるんですよ
え、自分でやれって?