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ジョン・オーツの自伝から推察するホール&オーツの関係性

昨秋、ダリル・ホール&ジョン・オーツの関係が悪化していることがセンセーショナルに報道された。なんでも、デュオの権利を管理している合弁会社の株をジョンが独断で売却しようとしたことにダリルが激怒したことが発端とのことで、それ以降、2人の関係は泥沼化、お互いがコンビ解消を口にするようにまでなった。

彼らが人気絶頂だった1980年代にその音楽に親しんでいたファンにとって、今回の騒動はショッキングな報せであり、いたたまれない思いでいっぱいだろう。飛ぶ鳥を落とす勢いだった当時の2人は、その音楽同様、親しみやすいキャラクターをミュージック・ビデオで振りまいていたし、スキャンダルとは無縁のアイドル的な存在でもあった。そんな彼らが仲違いし、傷つけ合っていることはファンにとっては信じがたい事件で、これがデュオの最後になってしまいかねないトラブルに発展してしまったことは悲劇といっていいのかもしれない。たしかにここ数年、デュオとしての活動はなく、自然消滅のようなかたちになってしまってはいたけれども、それでも名義上は存続しているコンビではあったし、いつかまた2人で音楽をやってくれるだろう、そんな淡い期待はできていたのだ、少なくともいままでは……。

訴訟にまで進んでしまったこともあって、2人が決別した理由はあやふやなまま。当然ながら外部にその詳細は伝わってこない。そんなもやもやした心もちでいるなか、ずっと前に買ったまま放っておいたジョン・オーツの自伝を読んだ。今回の仲違いを背景にして読んでみたのだが、これがなんとも興味深い内容であった。それは、ファンの多くが思っているであろう、2人の良好と思われる関係が、実はそれほど親密なものではなかったのではないかと推察できるものであったのだ。

ジョンは本のなかで相棒をけっして非難してはいないし、過去のネガティヴな思い出やわだかまりのようなものも一切書いていない。ただ、ジョンの視点から見る2人の間にはなにがしかの踏み込めない、または踏み込まないようにする不文律のようなものがあったのでは? と思わせる部分が散見される。ジョンの文体は徹頭徹尾冷静で、そこにはなんの悪意も感じられないが、淡々と自身の半生を綴っている文章に熱意はそれほど感じられない。2人の音楽にあるような快活な熱気がない文章は、まるで心に傷を負っている者が本心を隠して書いているもののようにも思えるのだが、それは自分の勘繰りに過ぎないのだろうか。

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