スチュワート・コープランドが語るポリスの遺産
スチュワート・コープランドが自身の人生を見つめ、過去と現在を行き来するプロジェクトに勤しんでいる。年内に発表されるという自伝本の執筆、ポリス時代の映像をまとめたアーカイヴ作品の製作。そしてその映像作品のための、新解釈となるポリス楽曲のリメイク・アルバムのレコーディングと、非常に精力的に、自身の過去を振り返っている。すでにコープランドは2009年に自伝本を発表しているが、今回は彼自身の日記を基にした、ポリスの活動初期をクローズアップしたものだという。また、映像作品についても、ドキュメンタリー作品『Everyone Stares 』に次いで今回が2作目の監督作品。これも前作とはまた違う視点での作品となるはずで、どういったものになるのか興味が尽きない。ポリスのファンにとって、几帳面に、事細かく記録することが得意な、バイタリティあふれるメンバーがいたことは幸運だ。コープランドが発表する2冊目の本、2本目の映画から、ポリスの活動の知られざる逸話が語られる可能性に期待が膨らむ。
アルバム『Police Deranged For Orchestra』(以下、PDFO)は、それら一連のコープランド・プロジェクトの先陣をきって発表された。いまや流行になっている感もある、オーケストラをバックにした新しいアレンジでのポリス楽曲集だ。仰々しいオーケストラにたくましい女性ヴォーカルをメインに、コープランドは自身のスタイルでドラムを自演している。試みとして、ポリスのあの独特な音楽をオーケストラ用にアレンジするのは興味をそそられるが、残念ながら、ここにあるのはどうにも消化不良な、物足りなさだ。
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