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エリック・カルメンにとって「All By Myself」とはなんであったのか?

エリック・カルメンが亡くなってから、SNSにあふれるファンのつぶやきをひたすら追いかけている。つぶやきのひとつひとつにあるさびしさと感謝の数々にはそれぞれのファンの思い出と温もりがあって、それらの言葉からはさまざまな思いが去来する。また、自覚することがないまま記憶に刻まれていたメロディが彼の訃報をきっかけにそっと思い出され、そこで初めてエリックという存在を知り、彼を偲んでいる人もいる。エリックのファンを自認しているわけでもない、かつては洋楽をラジオなどで楽しんでいたものの、いまではすっかり縁遠くなってしまったような、そんな人たちが一様に彼の音楽を讃えている。なにより驚いたのは、そういった人たちが、とても、とてもたくさんいることだ。たくさんのコメントで埋め尽くされたスマホの画面を見ていると、自然とこみ上げてくるものがある。

追悼の言葉をながめていると、エリックというアーティストを代表する曲はやはり「All By Myself」ということになるようだ。なにしろこの曲に触れるつぶやきの数は圧倒的で、ほとんどの人が絶賛し、自身の思い出を綴っている。自分もこの曲についての思いを直前のnoteに書いたが、ここではさらに深く分け入ってみる。

エリックにとっても、ファンにとっても、「All By Myself」は記念碑となる作品である。若さゆえの過ちの告白、そしてそこから生まれた苦難、そんな絶望を描いた歌詞と、ラフマニノフの曲を発展させてつくった美しいメロディとが折り重なった、まさしく傑作というにふさわしい名曲だ。
この名曲をいろいろと考えてみると、ふとこんなことが頭をもたげてくる。「All By Myself」は、ラズベリーズの代表曲であり、これもまた名曲である「Go All The Way」とリンクする作品なのではないか。タイトルに"All"が入ったこの2つの曲はあらゆる意味で対比的であり、対になっているように思えるのだ。「All By Myself」は平たくいうと「Go All The Way」のアンサー・ソングともいえるのではないか。また「Go All The Way」は「All By Myself」の前日譚であったのではないか。

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