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時代が丹波焼に追いついた

私はやきもの産地にいって、器を買うことが好きだ。
セレクトショップではなく、わざわざ足を運んでやきもの産地独特の風景を楽しんだり、作り手とお話しした上で買うのが楽しい。

「地域のやきもの」に興味を持ったきっかけは、中学生の頃沖縄に家族旅行に行った際、3千円のやちむんのマグカップを買ったこと。
当時の自分にはかなりの高額だったが、旅行の思い出も付加価値となり、今でも1番大事にしている器だ。

大学院生の時は、山口県の長門湯本温泉近くの萩焼(萩焼の中でも「深川萩」と呼ばれるもの)の産地の調査に携わった。
深川萩が時代のニーズに合わせてどのように販路を作ってきたのか、についての調査をして年表にまとめた。
少し前までの大量生産の時代は、問屋や百貨店展示による売上が大きかったが、今後は職人個人と客がダイレクトにやりとりしたり、産地に足を運んでもらい、直接工房で買ってもらうという産地観光の可能性が示唆された。
この経験を経て単に器好きではなく、やきもの産地に興味が湧くようになった。

そのような観光を趣味とする自分だからこそ、やきもの産地が抱える課題(後継者不足や時代に合わせた販路など)にはとても興味がある。


やきもの産地の未来


この間、やきもの産地についてのトークイベントがあり、丹波焼や瀬戸焼の職人さんとお話しする機会があった。

やきもの産地にもさまざまな種類があり、丹波焼には問屋が存在しないらしい。
しかも、法人化しているところも少なく、ほとんどが個人事業主であり、小さな工房が密集して産地を形成している。
作って終わりではなく、作り手自身が販売してきたのも特徴で、各工房にはギャラリーが併設されており、展示販売されているので、その場で買えるようになっている。
規模が小さいからこそ、作り手、問屋、売り手などの分業化されずに発展してきた歴史があるようだ。

たしかに、私と実際に足を運んだ時、山間の小さな町に工房が点々と存在しており、風景としてもかわいいし、買い回りしやすく観光しやすいと感じた。

それに対して、愛知県の瀬戸焼は日本屈指の大型産地であり、大きな工場が立ち並び、完全に作り手と売り手は分業されているので、作られた場所で買うことを楽しむ産地観光には不向きだという。(私は実際に自分の目で見てはいないので、今度遊びに行こうと思う)
大量生産用に作られた産地なので、縮小の時代である今は生き残れる工場は限られている。
そのイベントに参加していた瀬戸から来た方は先日自分の工場を畳むことになったが、今後は個人で活動していくつもりとお話ししていた。


いままでは日本六古窯の一つにもかかわらず、流通量が少なく地味なイメージだった、丹波焼。
これからは、小さい規模で作り手がダイレクトに売り込んでいく丹波焼のやり方に時代が追いついてきたように感じる。
ギャラリーが併設されてることや、山間の農村景観も美しいので、観光地としてのポテンシャルもある。
丹羽では「陶泊」という陶芸産地に泊まる取り組みも今年からスタートしており、今後ますます産地観光の動きも活発化するだろう。
これからの丹波焼の動きを追って行きたいし、いつか自分も関わってみたいなぁと思う。

とりあえず一消費者としてもっと丹波焼の里に金を落とすことから始めたいと思う。今年の陶器市ではたくさん掘り出すぞ、と気合い十分だ。

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