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本気なのに超ダサい。それが最高『メガフォース』

現在、私の部屋にはたくさんのDVD・ブルーレイ・VHSがある。引っ越す度に処分しているが、如何せん思い入れもあるので残す作品も多い。
だが、実際のところ「観ているのか?」と言われると、お気に入りの作品ばかりヘビロテしているので、大半は眠ったままの状態だ。しかも買って満足したものも多く、一度も(或いは何年も)観ていない作品もある。

「noteを始めたばかりだし何かの運命だ!」ということで、本棚に眠っていたDVDをこの機会に観ていこうと決意。
さぁ!記念すべき第1回は「メガ・フォース」だ!!

これを買ったのは、確か『マッド・マックス 怒りのデス・ロード』の公開前後だった。会社の大先輩から「お前『メガフォース』観たことないのか?」と言われたのがきっかけだ。
すぐに、品揃えが豊富な代官山や渋谷のTSUTAYAで『メガフォース』のDVDを探しに行ったがレンタルの取り扱いが無かった。

先輩に報告したところ「『メガフォース』置いてないんて代官山のTSUTAYAって、ダセェな笑」と言われ、あんなにハイソでシャレオツな”蔦屋書店”が、『メガフォース』を置いていないというだけでダサい扱いされるなんて、一体どんな映画なんだ…。

と、ますます好奇心を掻き立てられた私はAmazonで即ポチ。しかし、買って満足したようで現在まで放置されているというトホホな始末である。
ということで早速観てみることに!

監督ハル・ニーダム、製作アルバート・S・ラディ、制作レイモンド・チョウ、製作会社ゴールデンハーベストという『キャノンボール』組によって産み出されたSF超大作『メガフォース』の知名度は残念ながら低い。

大筋は、大砂漠を舞台に自由主義国家に属する志願兵によって構成された緊急機動集団”メガフォース”が、世界の平和を脅かすゲリラ戦車隊を相手に激闘を繰り広げるという近未来SFアクションだ。

だが、正直ストーリーは全く頭に入ってこない。
この映画、ヘンテコなのだ。

まず、本作の最大の売りである兵器=メカがおかしいのである。

世界の平和を守る緊急機動部隊メガフォースは超ハイテクメカを駆使して攻撃する。

戦闘車タックコム、装甲車メガ・クルーザー、戦闘二輪モト・デストロイヤー…痺れるような中二病ネーミングである。だが、レーザービームや消音走行機能等が搭載された超ハイテクマシンである。

ただし、残念なことに外見が超絶チープなのである。バイクや車の既製品を無理やり補強改造し、塗装を施し、なんとなく近未来っぽく見えるようにした技術さんの努力が伝わってくるようなハンドメイドクオリティなのだ!

だが、そのチープさとは裏腹に、滅茶苦茶ハイスペックという設定がさらに違和感を増強させてしまう。
敵側の兵器は大型戦車でありどう考えてもメガフォースより強そうなのだが、そんな理屈はお構いなしだ。

敵軍戦車や敵のアジトを、夜中に襲撃。60台の戦闘車両でレーザーやミサイルでフルボッコしていく4分間の殱滅作戦シーンは、もはや正義の味方ではなくテロリスト(バイクにデスとか付いちゃってるし…)!

しかも60人の隊員は一人もやられることなく帰還するという最強っぷりである。しかし直後には、そのメカに給油するシーンも描かれており、ハイテクなのかローテクなのかも定かではない。

というのがメカに対する率直な感想なのだが、当時の資料をみると本作の制作費はなんと87億円で、そのうち2/3がメカに使用されているという!
一体どこにそんなにかかったのか不明だが、1982年という公開年を考慮すると「当時は凄かったのかな?」と嫌々許容はできる。(ちなみに『キャノンボール』は120億円使っている。レイモンド・チョウ恐るべし)

また、主人公のエース・ハンターもヘンテコだ。メガフォースには階級が存在しないが、このハンターのみ司令官という役職についている。

だが、金色の全身タイツに鉢巻という奇妙なコスチュームや、女性にちょっかいを出すが、キスされると放心状態になるというプレイボーイなのかピュアなのかどっちつかずのミステリアスなキャラ設定も総じて謎なのである。

ただし、私はバイク”モト・デストロイヤー”だけはお気に入りだ。

このバイクの初登場シーンは最高だ。壮大な荒野で、周囲が火薬で大爆破する中、三台のバイクがウイリー走行する様子をスローモションでじっくり魅せる。
元々スタントマンだったハル・ニーダムの演出に、スタントマンの腕が振るいまくった相乗効果の瞬間だ。バイクはビュンビュン跳ね、『怒りのデス・ロード』に劣らない名スタントである!

そして、このモト・デストロイヤーには、何故か飛行機能がついている。
エース・ハンターが満面の笑みでクルクル回転しながら空を飛ぶ姿は、なんだか『ロボコップ3』でロボコップが急に飛んだ時のあのガッカリ感を再び味わったわけだが、本来映画にはこういう馬鹿馬鹿しさが必要にも思えて、その潔さに涙が出そうだった(出ないけど)。

まぁ、ハル・ニーダム達はまじめに作っているのだろうが、そのストイックさが全部ダサくも見えるという笑。だが、私はこういう純粋無垢なアクションが大好きだ。

アメリカ国防総省陸軍・空軍協力!
「キャノンボール」トリオ制作!
制作費87億円!

こんな大味の宣伝文句にも関わらず、思うような大ヒットを飛ばさず忘れ去られた『メガフォース』。一方でブルーレイが再発されるほど、一部の人にはカルト的な人気を誇るわけだ。
本棚に放置していた事を本当に後悔している。罪滅ぼしとして、今日から一人でも多くの方に「どうしようもなく暇なら観てください」という言葉と共にお勧めしたい。

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