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ピアノの発表会
株式会社石黒金属製作所の北山です。東大阪市で製缶、鈑金、溶接業をしています。
長男と次男はピアノを習っています。ピアノが弾きたい!ピアノをやりたい!と本人達の希望もあり、習い始めましたが、4年くらい経ちますが、言う程熱心に練習していません。
5人で住んでいる狭い家に、どうしても欲しいということで、電子ピアノも購入し、後は練習するだけという環境になっています。
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僕も小学生の頃ピアノを習っていましたが、さほど熱心に練習した記憶もなく、熱心ではない為先生にも嫌われて、レッスンに行ってもひとりで練習させられ、先生は自分の家の夕飯の準備をするという変な関係になってしまいました。
全然関係ないのですが、そんな練習嫌いで怒られてしょんぼりしながら帰るピアノの帰り道に、猫が車に轢かれているのをみて、しかも結構ハードな感じに轢かれていて、スプラッターな姿が衝撃的で未だに鮮明に蘇ってきます。
それとまた別の日、雨の日のピアノの帰り道で自転車漕いでいて、雨でペダルが滑り、ペダルを踏み外してハードに転んで足のあちこちを怪我しました。
その思い出強くて、僕がピアノを習っていたことを思い出すと、暗い部屋で料理を作る先生の後ろ姿と、轢かれたスプラッター猫、ペダルを踏み外したことが記憶の大部分を占めています。
そんな親なので、子供達に練習しなさいとは言うつもりもありませんが、練習もしないでキャッキャッと言って騒いでるのをみると腹が立ってきます。嫌なら辞めたらどうだ!と提案しています。
しかし、2人とも絶対辞めないと言います。そして何故か練習はあまりしないのに、ピアノの先生の事が大好きで、喜んでレッスンに行きます。
ピアノの先生も優しくて、プロを目指す為に練習するとかいうタイプの人ではなく、ピアノや音楽が好きでいて欲しいという感じです。
ピアノのレッスンから帰ってくると、子供達はピアノの話しはほぼせず、先生に家族で旅行に行く話しをしてきたよ!と楽しそうに言います。
まぁ、音楽が好きなのか先生が好きなのかわからないですが、辞めたくないし楽しんでやっているなら良いかと思って続いています。
この3月に市の小さいホールで、ピアノの発表会が開催される予定になっていました。
子供達は何ヶ月も前から取り組んでいた課題曲が残り2週間を切っても半分くらいの完成度で、流石に穏やかな先生も、このままではマズイですと焦っていました。
うちの奥さんが、先生に子供達のピアノの出来を聞いたら、発表会に参加するメンバーの中で下から3番目くらいに下手だって言われた。と言っていました。
発表会に参加するメンバーは小学1年生から中学生くらいまで20人ちょっとでした。
奥さんも目の色を変えて子供達に練習を促していましたが、当の本人達は、下から3番目の下手さだって、ゲヘヘヘ!アハハ!と言った感じで、ふにゃふにゃ小躍りしています。全然真剣さが伝わってきません。
それから残り2週間くらいで、本人達もちょっとヤバいかもと感じたのか、なんとなく練習に熱が入ってきて、残り3日くらいで形になってきました。
形になってきたといっても、その完成度をモアイ像で表すなら、完成してもざっくりとした顔立ちの雰囲気ですが、うちの子供の演奏の形になってきたと言うのは、作りかけのモアイ、岩なのかモアイなのかというあやふやなところであります。
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僕もピアノには夕飯の用意してる先生、轢かれた猫と、踏み外して転んだ思い出しかないですが、ロックからヒップホップ、映画音楽まで音楽は沢山聴いてきて、聴く耳には自信があります。
なので、子供の弾くピアノのピッチや、音を外したことを指摘して、ニュアンスやムードを大切にしなさいとえらそうに指摘しました。
子供達からはピアノも弾けない癖にと思われていますが、指摘内容が的確であるので、ムッとしながら従っていました。
ピアノの演奏は、指の送りが少し遅くなっただけでも、違和感が出てくるし、音と音の隙間ができて、妙な音の空白ができると、しんとして聴いてるこちらも背筋が凍ります。
発表会の当日の1時間前になって、次男はモーレツにやる気を出していましたが、時すでに遅しという感じです。時間内でやることはやったと言う感じで、ホールに向かいました。
数週間前に、2人は下から3番目の下手さだってさ!ギャハハ!と笑っていたのに、ホールに向かう途中から緊張してきたな、と神妙な顔つきになっていて笑えました。
発表会が始まりました。小学生1年生の子から次々に緊張の面持ちで、弾いていきます。上手くいったり失敗したり、小さい子供が何か一生懸命取り組んでいる姿はなかなか感動します。
幼稚園の頃から知ってる子供達の同級生も、次々出てきて弾いていきます。うちの子供と同じくらいにピアノを始めた子がものすごく上手になっていたり、みんな良い感じで、成長している姿をみて、また感動しました。
自分にとっての2〜3年と言うと、着ている服も大して変わらないくらいに、変わらない。写真を並べ替えても、ちょっと太ったとか、髪が短い長いくらいしか差がなく、成長が止まっています。僕の体重が1キロ増えたり減ったりしている間に、子供達は成長しているんだなぁと感心しました。
自分の子供達はどうだったのかというと、やっぱり練習不足で、長男は指がもつれていました。
次男は途中でちょっと止まり、4小節すっ飛ばす離れ技をやってのけました。
とりあえず終わったぜ!みたいな満足そうな顔をして戻ってきた次男は、もう弾くのめんどくさくなって、ちょっと飛ばしちゃったよ!とへへへと照れ隠しなのか意味不明なことを言ってました。
パッと聴いた感じでは飛ばした感じはわかりにくく、妙なテクニックを駆使してきましたが、そんなことする機転が効くなら、もっと違う形で効かせてくれと思いました。
長男はもう2日くらい練習すれば、しっかりと弾けた感じがして惜しかったです。しかし、やたらと自信たっぷりで力強い演奏で、自信を持って弾くだけでうまく聴こえるのが不思議でした。
モアイ像は掘り起こされるところまではいきませんでしたが、まぁ、やるだけやったなと言う感じでした。
2人とも今回の反省を活かして頑張るかどうかはわかりませんが、どちらもピアノは絶対辞めないと言っています。
何故そんなに頑なに辞めないのか聞いてみると、2人とも「だって、ピアノ弾けたらカッコいいし、モテるでしょ!」と単純明快な返事が返ってきました。
下手でも続けていたら、何か形になる日が来るのでしょうか。
放課後の音楽室で、カッコつけてピアノの弾いて、さりげなく4小節飛ばすんでしょうか。
まぁ、とりあえず終わりました笑