村、町、街の話し②
法則
名古屋、下之一色がかつて持っていた、その土地の持つ川の河口に並ぶ町屋、そこからの風の音、そして働く男衆、様々な商店等が縦糸となり、その地の人々の営みや暮らしの多様多層な場が横糸となり、紡ぎ出す世界。それに、いっそうの界隈性をもたらし、町の雰囲気を文学、映画を見るかのように伝えたものは何だろうか?
それは道の幅、道の長さ、異なる建屋種(商店、町屋等)の距離、各建屋の間口幅等の長さ、面積等を表す数の尺度ではないだろうか? この疑問を解いてみたいと思います。そこには、何か普遍的とも言える法則があるように思われます。
尺度
町は元来、田と丁に分けられ、丁は成人男子(律令制当時の成人年齢)を意味し、成人男子が一年間に耕し、稲を収穫出来る田の面積を町と表したとされています。もともと、町は距離や面積を表す、タテ、ヨコ等を表す数の尺度だったのです。町が世界観、小宇宙を持つには、適する尺度が必要となるのです。
(町は世界観、小宇宙を持つことが必要であるとするなら、そのためには適する尺度の理解が必要だとも言えます。)
例えば、道の長さ。一丁は約108mを指します。長い距離を中心地に持ち、1丁目から7~8丁目まである町があります。ですが、人の往来は1丁目から2、3丁目迄で、残りは寂れ気味か、1~2、3丁目のバックヤード(駐車場、おしぼり屋。クリーニング屋等)となっている町や、1~2、3丁目とは異なる
土地利用で、エリアを活性化させようとする町があるのが現状です。つまり、道の長さ、長さの積で表すエリアは、2、3丁(2~300m)を一単位として、その性格を伝えると、人は世界観を掴み易くなると言うものです。3丁の法則と言っています。
また商いは「秋に縄をなう」と言った言葉を短くしたものとされています。農家の人々が稲刈りの終わった頃に、藁作工を寺社の境内で売った事が、商いの始まりだとされています。やがて寺社は商売に敏感、熱心となり、人の賑わいを画策します。(人はエゴ、ケガレ故、寺社(仏教)が商売に熱心になる事は、人のケガレを受け入れている故、非ではありません。「野人、山人」絡みの章を参照ください。)
その策の一つが、参道の長さに表れます。寺社により、多少異なりますが、その長さは、ここでも3丁程(4丁もありますが)を基本としています。そこで煩悩を種々参道で商い、店として展開しています。他にも通り幅に関する3間の法則や、街の範囲に関する3層の法則、町の成立や町のポジションに関する法則もあります。これらは街づくり型の都市計画の基本的な知となっていくものだと考えています。
街のフィールドワークから、独自にこれらの法則等をまとめた元高校生は、20代から30代になろうとしていました。その後、またもや、運命的(笑)な街との出会いが・・・となります。
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