見出し画像

NATO分裂・崩壊間近?

NATO内部の分裂・亀裂が起きつつあります。これはトルコのイスラエルに対する敵視政策の明確化とBRICSへの加盟申請が発端となっています。
 
トルコはNATOの中で強大な軍威力を擁するメンバーですが、今月ロシアや中国、インドや南アなどで結成するBRICSへの正式加盟申請をしています。恐らく間違いなく受理されるでしょう。
 
トルコはイスラム圏の国であり、エルドアン大統領は以前「ガザでのイスラエルによる婦女子を含む民間人の虐殺はもう看過することは出来ず、トルコは彼らを保護する為イスラエルに軍隊を派兵する用意がある」といった趣旨の発言をしています。
 
これにはイスラエルの「トルコをNATOのメンバーから追放すべきだ」との反発があり、両国関係は冷え込んでいます。現在トルコはイスラエルとの交易を含む一切の交流を停止しています。因みにNATOとイスラエルは同盟関係です。
 
アメリカ系トルコ人活動家の女性アイセヌールさんが9月初旬にヨルダン川西岸でイスラエル軍により殺害されたことがこの状況を更に悪化させ、エルドアン大統領のイスラエルに対する態度を一層硬化させています。
 
イスラエル軍はガザ地区で行っている一般市民への無差別攻撃をヨルダン川西岸のパレスチナ人に対しても行い始めており、彼女は意図的にイスラエル兵により殺害されたとの見方が広がり、一般大衆のイスラエルに対する憎悪も広がっているようです。
 
アイセヌール氏殺害

 更にトルコは自国内で暗躍していたイスラエル諜報機関モサドのエージェント34人を逮捕しています。これでますます両国の関係は険悪になること間違いなしです。
 
トルコのモサド要員逮捕

またトルコ国内ではイスラエルに一方的に肩入れするアメリカに対する一般市民の反米感情がかなり高まっており米軍の海兵隊員がトルコの街中で群衆に暴力をふるわれ、ヤンキー・ゴー・ホームと書かれた垂れ幕が建物に掲げられている様子が報道されています。
 
アルジャジーラ:反米デモ

NATOは軍事同盟、BRICSは主として基軸通貨米ドル排除やアメリカの世界支配を嫌う国の集合体で、どちらかというとアメリカをはじめとする西側諸国対抗する政治・経済同盟ともいえる存在です。
 
従い、トルコがBRICSに加入しながらNATOにも籍を置くことは技術的には可能ですが、BRICS設立の趣旨と背景からすれば、一旦BRICSメンバーになればNATOの一員に止まることは常識的にあり得ません。
 
ただ、トルコは長らくNATOの組織に組み込まれていることから、兵器などの軍装備の体系や命令系統などの体系はNATOに準じるものの筈で、これらを短期間で例えばロシアなどの体系に変更することは不可能でしょう。
 
従ってトルコが今年中にNATOから脱退、という事態にはならないと思われますが、NATO全体で行うように要求される行動には参加しない、という事は十分有り得る話です。
 
例えば現在イスラエルとヘズボラ、フーシ派やイラクの反イスラエル武装勢力などの親イラン武装組織の間で行われている戦争がエスカレートし、対イスラエル攻撃にイランが前面に出てきとしましょう。
 
アメリカはイランがイスラエルを直接攻撃する場合にはイランを攻撃する旨の予告をしています。そこでアメリカはイランに直接攻撃を仕掛け、同時に地理的に近いトルコにNATOとしてイラン攻撃に参加するよう要請するでしょうが、トルコはこの要求にノーを突き付ける事態は十分考えられるということです。
 
日本ではあまり報道されていませんが、ヘズボラによる南レバノンからイスラエルに対する連日連夜のロケットやミサイル攻撃に対しイスラエルは近々地上軍をレバノンに派遣して全面戦争を計画しており中東における紛争は激化の一途をたどっています。
 
 
紅海でイスラエル発・行の船舶や米軍などの軍艦に攻撃をし続け、米軍が手を焼いているフーシ派はイラク・シリア経由でイスラエルに地上兵を派遣しイスラエル本土での地上戦に備えているなど、戦争の規模が日に日に広がっている状況です。
 
そういった中でNATOに反旗を翻したトルコが今後どういった行動をとるのかに注目が集まっています。 因みにトルコは長年の間EUに加盟したいと申請していましたが、なんだかんだと難癖を付けられ加盟できませんでした。
 
その理由としてEUはキリスト教同盟だから、イスラム教の国のトルコは仲間に入れたくないのだろう、と噂されていました。
 
つい最近になって、EUの方からEU加盟してはどうかとのお誘いがEU委員長のフォン・デア・ライエンからあったようですが、今度はトルコのほうからEUに参加するつもりはない、と断っています。アメリカやEUに対し愛想がつきたのでしょうね。
 


いいなと思ったら応援しよう!