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弁護士がスポーツビジネスを学ぶ意義

自己紹介の第3回です。
第1回:自己紹介(私がスポーツ法務に関わる理由)
第2回:弁護士がコーチングを学んで得たもの
自己紹介ネタはこれで最後になります。

弁護士という肩書きに関する違和感

一般的に弁護士というと、「裁判や紛争解決が主な仕事」というイメージを持つ人が多いと思います。
弁護士側も、「自分達の職域はトラブル対応や紛争処理」という意識を持っている人が多くいます。
しかしながら、世の中は法律だけで回っているわけではありません。
特に、スポーツ界は、様々な理由で必ずしも正論が認められる世界ではなく、理想と現実の間で悩んでいる人や、「スポーツの世界では当たり前」という見えない壁に苦しんでいる人がいます。
そんな中で、私は「現場」を知らずに第三者的な立場から論評するようなことはしたくありませんでしたし、自分が実践していないと、自分の発言の説得力も生まれないと考えていました。
暴力暴言を無くすためにコーチングを学んだ私が、次に選んだのは、チームや競技団体が度々壁にぶつかる「ガバナンス・コンプライアンス」についてサポートするために必要な、スポーツビジネスの現場を学ぶことでした。

MSBSを選んだ理由

私は、2021年2月から4月頃にかけて、MSBSでスポーツビジネスを網羅的に学びました。
MSBSを選んだ直接的な理由は、フィールド・フローの養成講座で同期だった方から教えてもらったことがきっかけです。内容を見た瞬間に、「この内容でこの金額なら参加しない手はない」と即決でした。

MSBSで学んだこと(ネタバレしない範囲で)

現場の感覚を知った

私が一番学びたかったのは、「現場で働いている人が、どんな目を持っているのか、どこにアンテナが立っていて、どういう発想で物事を考えているのか」という現場の感覚でした。
この点、MSBSでは、主催者の満田さんをはじめ、実際に現場で仕事している方々が大勢参加しており、休憩時間の雑談すら貴重な話のオンパレードでした。
ゼミで話題にする内容、ディスカッションの際の切り口、「そういえば~」から始まる関連するトピックなど、ひとつのテーマでも選手・チーム・スポンサーそれぞれの立場から、どこに関心があるかを肌感覚で知れたのは、とても大きな経験でした。

スポーツビジネスの疑似体験

MSBSでは、一方的な座学ではなく、ディスカッションや課題を通して学ぶことができたこともいい経験になりました。
例えば、
・スポンサーセールスについて、自分で企画を作ってみる
・広告やイベントのリリースについて、ポスター案を作ってみる
・イベントの企画や実施について、実際にプレゼンする
など、ちょっとしたOJTのような経験をすることができました。
数か月のゼミでしたが、法律論ではない頭の使い方ができたことで、視野やアンテナの感度が高まったと思います。

受講後の変化

MSBSでの学びを通して、自分の中で生じた一番大きな変化は、スポーツを見るときの「自分の目が行くところ、気になるポイント」です。
例えば、
・スタジアムの最寄り駅から会場までの道になにがあるか
・どんな広告が流れているか
・広告以外のアクティベーションは何があるか
・試合中のイベントや企画が実現するまでに、どんな準備をしてきたのか
など、試合以外の様々な情報に対する自分のアンテナの感度が高くなっていることを実感しました。

価値提供について

若干ネタバレになりますが、MSBSでは、スポンサーシップの本質は、価値提供だと学びました。
この「価値提供」という言葉は、スポーツに限らず、全てのビジネスに当てはまります。
選手のセカンドキャリアという角度で考えると、「スポーツしかやってこなかった」ではなく、「スポーツを通して〜〜を得た」という経験やスキルが、アスリートにできる価値提供と言えます(この辺は掘り下げると長くなるので別の機会に書こうと思います)。
また、自分自身に置き換えてみても、弁護士という肩書きは、自分にとって大きな特徴のひとつではありますが、私自身の中では一部に過ぎません。仮に、弁護士という肩書が無くなったとしても、リサーチ力、文章力、相関図の整理など、様々な価値提供ができます。
この「自分には何ができるか。自分にできる価値提供は何か。」という意識は、今後も大事にしたいと思います。

広がった人脈

MSBSのつながりは、受講後も続きます(詳しくは、こちら)。
私も、いくつかのコミュニティに参加しており、お互いの活動のシェアや、ニュースになっているトピックに関するディスカッションを通して、今でも学びが続いています。
こうした、「学んで終わり」で終わらないところも、MSBSの強みだと言えます。

まとめ

私は、スポーツ界から暴力や暴言を無くしたいという思いから、スポーツ法務に取り組むことを決めました。
私の活動を整理すると、
・暴力、暴言、ハラスメントを消すこと(コーチングの普及)
・チームや競技団体の運営サポート(ガバナンスやコンプライアンスの徹底)
の2本柱になります。
今後は、
・アスリートのキャリア支援やエージェント業務
という角度からも、スポーツ界に関わっていきたいと考えています。
弁護士の業界でも「スポーツ法務」は、まだまだ未開拓の分野で、伸びしろだらけです。
フィールド・フローとMSBSで学んだことは、私にとって本当に大きな財産になりました。
次からのNOTEは、私の自由研究的な内容も含めて、様々なトピックを取り上げていこうと思います。

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