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最新癌治療「光免疫療法」の未来

昨今「光免疫療法」という言葉をメディアで目にする事も増えてきましたが、光免疫療法に関して皆さんどの程度ご存じでしょうか?

光免疫療法の背景


光免疫療法は、米国立がん研究所(NCI)の主任研究員である小林久隆先生によって開発された新しい治療で、『身体への負担を極限まで減らし、がんに効果をもたらす新たな治療法』として今最も注目されている治療方法です。
(2011/11/19にて、ネイチャーメディスン誌上にて、光免疫療法の開発について発表されました。) 

光免疫療法は近年より注目が高くなっていますが、2012年の当時の大統領オバマ氏によって、一般教書演説にて「政府の研究機関から正常細胞を傷つけずにがん細胞だけを死滅させる、まったく新たな治療法が生まれた」紹介しており、現在から約10年も前から注目されていました。
2018年の4月から国立がん研究センター東病院で頭頸部がに対して治験が開始され、1年後の2019年には米国臨床腫瘍学会では、第Ⅱa相臨床試験の結果として良好な安全性プロファイル及び臨床的意義のある抗がん効果を発表しています。
2020年9月には『アキャルックス(R)点滴静注250mg』が光免疫療法で使用される新薬として薬事承認を取得し、大きく事業展開しています。

光免疫療法の種類

光免疫療法は2種類に分ける事が出来、「頭頸部イルミノックス治療」「それ以外の治療」に分ける事が出来ます。

①頭頸部イルミノックス治療(IR700)とは  
楽天メディカルジャパン株式会社が製造販売を行う医薬品「アキャルックス®点滴静注250㎎」と医療機器レーザー装置
「BioBlade®レーザシステム」を使用した光免疫療法による治療です。
がん細胞の表面に多くあらわれるタンパク質に結合する薬剤(アキャルックス®)を投与し、
当該医療機器を用いてレーザ光を当てることでアキャルックス®がこれに反応し、がん細胞を壊死させます。

・対象となる疾患  
切除不能な局所進行又は局所再発の頭頸部がん

・保険適用の可否
頭頸部がんに関しては保険適用可、それ以外は現在治験段階

②頭頸部イルミノックス治療(IR700)以外の光免疫療法とは
光感受性物質(ICG(インドシアニングリーン)など)をリポソーム化(一般的に100nm程度の大きさ)し、EPR効果を利用する事で薬剤をがん細胞に集積させます。
リポソームは医療用色素とし、日本でも一般的に使われているものであり、EU各国(ドイツなど)の光免疫療法の臨床ではこちらを主に用いています。
その後、レーザー光線として様々な波長を有した機器から選定し24時間以降に照射します。

・対象となる疾患  
おおよそ全身のがんに対応可能


今後の光免疫療法

現段階では頭頸部がんのみ保険適用となっており、それ以外が自由診療の段階です。
がん治療は長年標準治療(手術、抗癌剤、放射線)が主流でしたが、光免疫療法が一部ではありますが保険適用となった事はがん治療の大きな飛躍かと思います。
今後、頭頸部がん以外の部位も治験を経て、保険適用になる日も近いと思われます。

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