『笑いのカイブツ』を観た。
伝説の放送作家・ツチヤタカユキさんの私小説を映画化した本作。
『オードリーのオールナイトニッポン』でもたくさん読まれていたから、なんなら最近ANN JAM(オールナイトニッポンのアーカイブが聞けるサブスクサービス)で過去の放送を聴きまくっている僕からすると、身近に感じると言うかちょっとした有名人な感じだ。
岡山天音さんも最近すごく好きな俳優さんなので(『ある閉ざされた雪の山荘で』も観た)、公開前からとても興味があった。
本編を観た感想。
すごすぎて、終演後2、30秒くらい席を立てなかった。
ただ、そこらへんで、「あ、やばい。このまま放心状態でここに座っていたらかなり「やってる」感じになる」と思い、どうにか動き出した。
「「やってる」感じになる」というのは、
「このものすごい熱量の映画を見て、僕は打ちのめされて立てなくなっちゃうような、繊細で天才的で、今まさにみなさんが映画で見ていたツチヤタカユキと似た感受性を持っている人ですよアピールをしていると思われてしまう」
という意味で、まさしくそんなことを思ってしまうところこそが僕が人の目を気にする、しかも斜に構えた目線を気にする、天才肌とは反対の人間であるということの証左なのだけど。
……などと、「まあ、そういうところも分かってますよ」と弁明するあたりこそが僕が人の目を気にする、しかも………以下略。
全然面白いことはないし、ひたすらにしんどい話なので、オススメ出来るかというとそんなことはない。
しかし、時間と価格に見合う価値というかそれ以上の価値はある作品だと感じた。
ベーコンズ西寺とのやりとりでいちいち涙がボロボロ流れた。
この作品に対して、『最低限のコミュ力が必要』『礼儀がなってないのはちょっと』というのはどう考えてもその通りだし、別にツチヤタカユキくらい天才ならそれでいいんだよ、などと言うつもりもない。
どちらかというと、共感出来ないことがこの作品の肝なんだろうなと思う。
共感出来ない悔しさ、みたいなものもある。などと言うことに、おこがましさも感じる。
最終的に思ったことは、月並みすぎるけど、
いつか、この映画を見て『若いねえ』なんて薄ら笑いを浮かべるようになったら、その時は筆を折ろう、ということだった。