五輪連覇より大事なこと(78/365)
「見栄を張るのは疲れた。」
こう語っていたのは競泳の萩野公介選手です。
4月に行われる東京五輪の代表選考会を兼ねた日本選手権への出場種目が明らかとなり、リオ五輪で金メダルに輝いた400m個人メドレーは回避する事が分かりました。
ということは、400m個人メドレーにおいての五輪連覇も幻となったわけです。
リオの際僕もテレビの前で観戦していて、熱狂したのを覚えています。
そこから5年、まさかの五輪延期となりながらも、選考会がやってきました。
萩野選手はこの期間、順風満帆ではありませでした。
5年前は日本競泳陣のエースで国際大会ではメダル常連で、次の東京でももちろんメダル、連覇が期待されていました。
しかし、そこから骨折やスランプに陥ったりして、代表の座から離れることになります。
確か、水泳自体から離れた期間もあったはずです。
批判的な意見が飛び交った事もありました。
そんな期間を乗り越え、昨年あたりから復調の兆しを見せ、世界で戦えるまで戻してきたのです。
もし、昨年五輪が開催されていたらメダルどころか代表になることも難しかったかもしれません。
コロナウイルスという目に見えない敵のせいで多くのアスリートが落胆したのでしょうが、萩野選手にとっては、そのおかげと言っては変ですが、チャンスが巡ってきたのです。
一度頂点に立ったものにしか分からない苦しさもあると思います。
周囲は勝手に4年後を期待し、ものすごいプレッシャーが掛かるはずです。
そして金メダルを取った種目なら本人にも、プライドやこだわりもあるはずです。
4年間でモチベーションの変化もあるでしょうし、そこにピークを持ってくる為のトレーニングの難しさなど、我々には想像できないものがあるはずです。
(改めて、2大会連速2冠の北島康介さんは偉大だなと感じます。)
そんな中で、冒頭の言葉が出てきました。
ブランクもあり今の現状を踏まえた上で、五輪連覇より世界で勝負するための選択を下したのではないでしょうか。
本当のところは萩野選手にしか分からないでしょうが、簡単な決断ではなかった事だと思います。
しかし、この発言があったということは、腹をくくって他の種目で世界で勝負するという決意の現れかなとも思います。
五輪の開催も未だ揺れる中、自己の最大のパフォーマンスを発揮することだけを目指しているトップアスリートの方には尊敬しかありません。
我々は応援するのみです。