予防法務?なにそれ?美味しいの?
【予防法務って何?】
「予防法務」って聞いたことありますか?正直、あまりピンとこないですよね。「弁護士=トラブルが起きたときに頼る人」というイメージを持たれている方がまだまだ多いのではないでしょうか。
でも実は、ビジネスの世界では「トラブルを起こさないために弁護士を活用する」という考え方が、ものすごく重要になっています。これが、いわゆる「予防法務」です。
簡単に言うと、「法的なトラブルを未然に防ぐ」ことになります。
たとえば、
契約書を整える → 後々のトラブルを防ぐ
就業規則や社内規程を整える → 従業員との揉め事を未然に防ぐ
取引先との交渉での重要事項を整理しておく → 交渉やで困らないようにする
といった取り組みを、「何か起きる前」に行うのが予防法務の基本です。
「契約書?ネットでテンプレ拾えばいいんじゃない?」
「生成AIでなんとかなるんじゃない?」
こう思っている経営者さんもいらっしゃるかもしれません。
ただ、現実にはこんなような事態が発生しています。
①契約書をネットで拾ったテンプレートを流用した結果、発生したトラブル を想定していない内容だったために、代金を支払ってもらえず、訴訟提起までしたものの、契約書の内容が不十分だったために敗訴。数百万円の代金が回収できなかった。。。
②SNSを活用したマーケティングを実施したのは良いものの景品表示法に違反する表現があったことが発覚。。。
対応に追われて、損失が発生。。。
「予防法務」がしっかりしていれば、これらのトラブルは未然に防ぐことが可能でした。
【予防法務でできること】
では、具体的に「予防法務」として何をしてく必要があるのでしょうか?
1.契約書のチェック&整備
「うちの契約書、本当に大丈夫?」と少しでも思ったら、すぐに見直すべきです。
取引の内容に合った契約(利用規約など)になっているか?
→ テンプレではなく、自社の取引に適した契約書を作る。
誰が何をして、いつ、誰が誰にいくら支払うのか、想定されるトラブルが発生した場合の対応がカバーされているか、契約解除事由は定められているか、合意管轄、損害賠償の条件はどうなっているかなどなど、当該取引によって、多様なパターンが想定されます。
2.労務管理の整備
就業規則や雇用契約は適切な内容となっているか?
未払い賃金のトラブルは企業のキャッシュフローにボディーブローのようにダメージを与えることがあります。
事前に対策をしておくことで、労務トラブルのリスクは大幅に減らせます。
③ その他のリスク管理
商標トラブル、著作権トラブル、SNS・広告トラブル、競合他社とのトラブルなど、事前にどこにどのような法的リスクがあるかをスクリーニングしておくことが重要です。
予防法務を導入することで、契約トラブルを防ぐことが出来、その企業のリスク意識が向上し、意思決定の速度があがり、法務面でのストレスを軽減して事業に集中することが可能になります。
「法務にお金をかけるなんて…」と思うかもしれませんが、後からトラブルになると、時間、お金、精神的な損失が発生します。
ここにコストをかけるよりも、コスパが良いと思います。
「大企業ならともかく、ウチみたいな中小企業には関係ないでしょ?」と思っていたら大間違い。
どのような企業にも大なり小なり法的リスクは潜んでいて、企業規模だけでは判断できません。個別具体的な事業の内容、会社の状況、取引先の数、ビジネスモデルによって、異なります。
「あのときしっかり整えておけばよかった…」と後悔しないためにも、早めに対策を始めることが重要です。
歯科検診や人間ドックに行くのと同じイメージです。
誤解を恐れずに言えば「法務は先手必勝」というところがあります。
予防法務を活用し、事業の成長に役立てて行きたいというのが僕の想いです。