湘南
茅ヶ崎に移住して丸6年が経った。
長女が小学校に入るタイミングだったので、最初は長年住んだ三軒茶屋で家を探した。
絶望した。
夫婦共働き倒しまくって、やっとローンが払えるような金額を不動産屋から提示された。
「大丈夫っすよ」と不動産屋社員は軽めに提案する。
大丈夫だよな、と思える人生を歩んで来なかった自分が悪い。
いや、何で自分が悪い、という気持ちにならなきゃいけない。
「この物件、たった今、まさにもうひと方申し込みが入ったので10分間お時間を差し上げますので、どうなさるかご夫婦で話し合って決めて下さい」とウン千万円のリビングで20代前半の顔色の悪い不動産屋社員に言われた時に、急激に冷めた。
ウン千万を10分で決める人って、この世の中に居るんだろうか?
居るんだろうな。
10分で決めれる人生を歩んで来なかった自分が悪い。
いや、何で自分が悪い、という気持ちにならなあかんねん、オイ。
冷めてから、ウン千万円の家を外から眺めてみた感想は「細っ!」であった。
と同時に東京に興味が無くなった。
不動産屋社員が慌てて電話を取り出し電話を受け、芝居掛かった驚きの声を上げる。
「ええ!ホントっすか!!分かりました!!」
日も、とっぷりと暮れていた。
「ご主人様!ちょうどたった今、別のお家でご契約のキャンセルが出まして、今がチャンスです!もう一軒内見に行きましょう!」
え?外暗いよ?ホンマに言うてる??
もう住まない事は内心確定していたが、今後の家探しの為の勉強と思い行ってみる事にした。
・・・さっきの家より細かった。
いや、こういう時の相場は、さっきの家より良い物件持って来んと!!!
いや、しかし見方を変えれば、これでスッキリ都内での家探しを終える事が出来る。
ありがとう、顔色の悪い不動産屋社員さん。
ありがとう、2軒目のトゥクトゥクくらいしか停めれない駐車場付きの家。
その時、心の中に浮かんだのは「家族揃って海でBBQして山にカブトムシを息子と採りに行く日常」。
続きはまた今度。