茅ヶ崎に来てまず始めた事 その2
茅ヶ崎に移住して丸6年が経つ。
折角、湘南に来たのだ。
自己紹介の時に「湘南に住んでるんですよ」だけでは何かつまらない気がしていた。
そこで、大量に集めた流木を使って何か出来ないか考えてみた。
自己紹介の時に渡す物。名刺。
そうか、この流木を名刺にしてしまえば良いのだ。
拾って来た流木に自分の情報を全て入れたQRコードを貼って名刺として渡してみよう。
想像してみた。
恐らく、流木名刺は貰った人がちょっと迷惑そうな顔をするだろう。
「何やねん、コレ!?」
と言ってくれるだろう。
普通の仕事をしていれば、名刺を渡して迷惑そうな顔をされてはいけない。
しかし僕の仕事の場合はシャレで済ましてもらえる事が多々ある。
シャレで済んだら、その後はそれを軸に会話が広がる。
「何でこんな事やってんすか!?」
と、ちょっとした話題になればラッキーである。
話題を作ってナンボだ。
という勝手な妄想で、流木名刺作りが始まった。
ここで大事なのは、シャレで済ましてもらえる程度の流木の大きさでなければならない。
「マジ迷惑なんだけどー」と思われない程度の大きさ、かつ「ええ感じ」の流木でなければならないのだ。
厳選した流木達を熱湯で湯掻いて煮沸消毒をし、乾燥させてからニスを塗ってQRコードを貼り仕上げた。
出会う人、出会う人に流木名刺を渡す日々。
後輩芸人の囲碁将棋の文田には
「石橋さんから流木貰ってから、娘がしばらく発熱してます。どうしてくれるんですか?」
と言われた。
流石は文田。
コッチの意図を全て理解してくれていた。
心の中では「そうそう!欲しいコメントそれそれ!エピソードトークにしてくれてありがとう!!」と思いつつ
「いや、そんな事言うなよ!一生懸命作っとんねん!」と鼻の下を伸ばしてツッコむ僕。
そんな事を繰り返していた、ある日の事。
知り合いの方から「石橋さんの流木をハワイのアパレルメーカーが出展するポップアップショップに置かせてもらえませんか?場所は伊勢丹です。」と相談されたのだ。
流木集めが仕事に変わった瞬間であった。
続きはまた今度。