ショートショート 09,努力家の苦悩
男は努力をすればするほど、積み重ねてきたものが失われていくことに苦悩していた。何も考えずにただ積み重ねることはできるが、それでは成績に全く反映されない。考えて効率よく積み重ねねばならないが、一瞬でも間違った努力を重ねてしまうだけで、それが崩れ去っていく。
毎日、脳を動かし、指を動かし、一点を見つめ、集中する。今日の成績は16点。最高得点の19点まであと少しだが、そのわずかな差には、いくつもの大きな壁が立ちはだかっている。
「今日はもう諦めよう……」そう自分に言い聞かせながら、男は頭の中で繰り返される「ばよえ〜ん」という掛け声を振り払い、眠りについた。
ぷよぷよの世界では、努力の積み重ねも崩壊も、すべて一瞬の判断にかかっているのだ。