ショートショート 04,爆弾処理
「赤だ!赤を切れーーーーー!」
緊迫した状況下、1人のベテラン刑事と電話越しにいるオペレーターの時限爆弾解除劇が繰り広げられる。
ピッ…ピッ……チョキン………
「止まっ……た……?」
「あー、またこのパターンかおもろないなー」
男が画面の向こうでビール片手にそう叫ぶ。
楽しみにしていた映画の結末がこれだったのだから無理もない。横にいる妻にもあたる。
「なんで犯人側もこんな時限爆弾用意するんかね。どっち切っても爆発するやつとか、そもそも絶対爆発するやつとか用意すればいいのに…」
「犯人にとっては爆発するかなんてどうでもいいのよ。そこに狼狽える人を見ることが楽しいんだから」
「いや俺は犯人じゃないんだから、視聴者を楽しませるような爆弾を作って映画化してほしかったな……」
映画への文句をぶつぶつ垂れていると妻が突然
「私も実はこの家に時限爆弾を仕掛けてるのよ!」
こんなことを言い出した。
映画の出来に納得がいかない僕のために妻が冗談を言ったに違いない。
「いっ……一体どこに仕掛けたんだよ!」
僕も妻に便乗してふざけ始める。
「さーてどこでしょうね〜。爆弾探しで狼狽えるのを見るのも楽しいね〜」
「どこだ!ここか?ここか?」
妻の2つの大きな爆弾をつつき、
妻も「せいかーい」とか言って僕の体を弄り出す。
こうして始まる長い夜。
3日後、妻の溜め込んだ怒りが爆発してしまうとも知らずに。