Oh!Baby ぼくをダメにしたいなら
入らん。
ノートブックPCの充電差し込み口にプラグが入らんのや。
急にや。
充電不可能や。
よりによって配信を長時間見た後だったので、充電残量40%少々。
原稿の〆切あるのにオーマイガー。
スマホで原稿よう書けへんもん。なんでかて、イーッてなるから。指先でシュッシュ書ける人を尊敬している。
手書きもあかん。イーッてなるから。手書きでカリカリ書ける人を尊敬している。
手書き台本いうたらうちの業界の大御所先生、漫才台本、いまだに手書きなのです。挿入&削除、その他諸々、どないしてはんねやろていつも思てたんですよ。
例えば、15ページぐらいのところで、あ!このボケ10ページ目のんと入れ替えよ!って思たら、消しゴムで消して書き替えなあかんやん?当たり前やけど。問題はその後よ。ボケ変えたらツッコミ変わるやん、ツッコミ変わったら流れとして次のボケも変えなあかんかもやし、そのあとも……て、結局、全部書き直しやでな。イーッ!のレベルを超えとるでな。
そのあたり、いっぺんご本人にお尋ねしたことあるんです。手書きやと、書き直しとか大変ちゃいますか?って。
大御所先生はおっしゃいました。
「大丈夫。だって僕、台本書き直せへんから」
いったん書き出したら、ダーーー!!って最後までいっちゃうんだって。振り向かないの。さすが大御所。
あたす?
振り向く振り向く!三歩進んで二歩下がるどころか二歩進んで三歩下がる。ワンツーワンツー、これいつ書き終わるねん言うて。しんどい。
今の私はもうこの子(パソコンのこと、この子言い出したで)なしでは仕事できへんなとさえ思う。
その子が今、瀕死状態。
大急ぎでApple相談窓口に電話する。窓口のにーちゃんは慇懃にこう言った。
「えーと、本体を開けることになりますとですね……」
本体開ける!?いやいやいや、充電の穴がおかしいだけやで、なんぜ本体を開けることに!?
「えーと、それはですね、うんちゃらかんちゃらだからなのです」
なるほど。
うんちゃらかんちゃらなのでしたら仕方ないですね。私はうんちゃらかんちゃらのトラブルを一刻も早く治していただきたいのです。
その場合、修理は、おいくらぐらいかかりますか?
「えーと、だいたい90000円ほどですね」
きゅー
まん
えん。
っと。
……
きゅー
まん
えん。
っと。
2回呟いてみても現実は変わらない。
ぴ。
電話を切って考える。
そや!前に修理してもらった最寄りの修理センターで診てもらおう。なんやったらそっちを先に思い出すべきだった。
修理センターに電話をすると、窓口の男性スタッフさんは
「とにかく実物を見せてください」と言う。
「いずれにしても実物をみないと何とも言えませんので、一度もって来ていただけますか?」と。
わかりました。今から行きます。
車を飛ばして約20分。
瀕死のパソコンを胸に抱き、修理センターの窓口へ。その口調から、さっき電話口に出てくれたであろう男性スタッフさんが応対してくれる。
彼は私の話を一通り聞くと私からパソコンを受け取り「あとでお呼びしますね」と奥へ入って行きました。
約10分後。
彼が再び現れました。
あのっ、うちの子は、いったい……!?
「原因は異物でした」
異物!?
「はい。これです」
彼の手の平には細い2㎝ほどの金属片が。
「これが差し込み口に入ってました」
これが!?なんで、こんなものが入っちゃったんですかね!?
「それは……私どもにはわかりかねますが……ひとまず異物は取り除きましたので、もう充電できますよ」
ということは……治ったんですか?
「はい」
あ、あ、ありがとうございますーーー!!
「では、お返ししておきますね」
と、彼は私にパソコンを渡して
「これで失礼します」(去ろうとする)
え?え?あのっ!……お代は?
「お代?結構ですよ」
へ!?いや、なんかぁさっきぃー、Appleの相談窓口に電話したらぁー本体開けてぇー、うんちゃらかんちゃらーて言うてー、きゅうまんえんとかーなんとかぁー
「本体?9万円?……いや、これを取り除いただけですので、ほんとにお代は結構ですよ」
と言い残して彼は、「失礼しますね」と他のお客さんの応対のために去って行ってしまったのでした。
神なの?
人間の形をした神がここに。
元気になったパソコンを我が家に連れて帰る。
♪Oh!Baby ぼくをダメにしたいなら
ある朝きみがいなくなればいい
それだけでいい
頭の中を清志郎の声が流れる。
いやほんと、さっきまでダメになりかけてたわ!!(泣)
そして
いつも隣にきみがいる幸せを噛みしめる。
でもって今、
9万円浮いた気になっている。
#RCサクセション #忌野清志郎 #Oh !Baby #漫才台本
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