Herman Millerのアーロンチェア、エンボディチェアを売りミラ2チェアに落ち着いた話
こんにちはKEIです。
ちかごろ世界的な情勢を受けリモートワークを導入する企業が増えてきました。自宅で仕事をする機会が増えたことを機に良いオフィスチェアの購入を検討される方も多いのではないでしょうか?
良いオフィスチェアの情報を集めると必ずと言って良いほどHerman Miller社 (以下HM)のアーロンチェアの名前を見かけます。他にもHMは人間工学を追求した個性的な椅子を多々出しており中でも以下3つの椅子はHMの代表的なオフィスチェアとなっています。
アーロンチェアリマスタード
エンボディチェア
ミラ2チェア
それぞれの椅子の詳細は他の記事や動画で触れられているためここではあまり触れません。ただ3つの椅子全てをしばらく使用したことがある人の体験談は少ないと思います。私は自分にあう椅子を求めた結果、最終的にアーロンチェアを買っては売り、エンボディチェアを買っては売り、ミラ2チェアにひとまず落ち着く形になりました。今後HMのオフィスチェアの購入を検討される方の参考になるように、私がそれぞれの椅子を買った動機と手放した理由をここで紹介したいと思います。
はじめに
椅子との相性を決める上で体型はとても大きな要素です。参考として私の体型は身長170cm、体重60kg、足はあんまり長くなく胴長気味😂。少し体重は低いもののまあだいたい平均的な日本人男性の体型だと思います。以下私の各椅子の体験談はこの辺を加味して読んでいただけるとよいと思います。
私の椅子を使う場面としては仕事と趣味のプログラミング、PCでのゲームといったところです。家にいる時はかなりの頻度で自分の机の椅子に座っています。
アーロンチェアリマスタード
買った動機
前傾姿勢の機能に惚れ込んだ
メッシュシートの通気性、硬さが最高
手放した理由
背もたれの大きさ、椅子幅、座面の奥行きを考えたときに全部のバランスがしっくりくるものがなかった
実はアーロンチェアは二度買いました。一つは日本にいる時に旧バージョンのサイズB(中サイズ)を、カナダにいる時にリマスタードのサイズA(小サイズ)を購入しました。私が手放したのはカナダで買ったサイズAのものです。
日本の方のアーロンはカナダに行く時に実家の父に引き継がれ、購入から13年経つ今も問題なく機能しています。カナダに行くことがなかったらたぶん他の椅子に乗り換えることなくこれをずっと使っていたと思います。なので手放すほど大きな不満を実際に抱いたのはカナダのサイズAになりますが、この不満の理由は根本的にはアーロン全体に繋がるものです。
アーロンはサイズがサイズA(小)、B(中)、C(大)の3種類展開されています。どれを選ぶといいかは身長と体重により異なりますが、公式から選ぶサイズの目安のチャートが提供されています。
このチャートを見ると私の体型(170cm、60kg)はサイズA or Bのところに入ります。日本人男性の方は同様にここに入る人が多いと思われます。
ここでHMの椅子のそもそもの話になるのですが、HMはアメリカの会社なので体型のベースモデルが日本人ではないのですよね。私含め日本人は欧米人と比較して小柄で足が短く胴が長めの傾向があり(当てはまらない人は先祖と親に感謝)、これがアーロンでベストサイズを選ぶ上でも足枷になってきます。
私は日本で使っていたサイズBのアーロンは手放すほど大きく感じた不満はなくむしろ満足感が大きかったです。ただ使っている時にしばしば椅子の幅が少し自分には大きいなと感じていました。また座面の奥行きももう少し小さい方が良いかな、と思うことがありました。
そのことが頭にあったのでカナダでアーロンのどちらのサイズを買うのか検討した時、サイズAがぴったりそうだったのでこちらを買うことにしました。すると椅子の幅と座面の奥行きはとても良い感じになったのですが、今度は背もたれが低すぎるという問題に直面しました。このことから自分の背中を上手く預けることができず肩や首周りに負担がかかりとても不快であったため手放すことを決めました。購入前に試し座りができていればよかったのですがサイズB、Cはよくお店においてあるけどサイズAはほぼないんですよね・・・。まあでも試し座りができていても短期間で感じた不満かというと少し微妙なところです。
エンボディ、ミラ2チェアは座面の奥行きの調整ができるのですが、アーロンはこの調整機能がありません。理想的な座面の奥行きサイズは「お尻からひざ裏までの距離+指2〜3本分」と言われており、椅子に座って膝が90度に曲がった状態で脚と椅子の間に指2〜3本分ぐらい入るのがベストになります。
典型的な日本人男性の体型でこの要件を満たそうとすると私のように座面の奥行きと椅子の幅はサイズAが最適、背もたれはサイズBが最適という状態になりがちです。
日本で長く使っていたように私の場合はベストではないが座面奥行きはサイズBでも大きな不満はなかったものの、ネットの情報を見ると座面の奥行きが長すぎて膝を圧迫して辛いという人もいます。
以上のようにあちらを立てればこちらが立たずという状況が主に私をアーロンから遠ざけたものとなりました。ただ正直今でもサイズBなら満足して使えると考えています。結果的には他の椅子への興味や新しくこれもできたらいいな的な考えがあり、次にエンボディチェアを買うことになりました。
エンボディチェア
買った動機
後傾姿勢の椅子に興味があった
背もたれがより高い椅子が欲しかった
アーロンに比べてゲーム時にもよりリラックスできる椅子が良いのではと思った
手放した理由
ファブリックのシートが沈みすぎで後傾姿勢時に背骨をS字にキープするのが難しかった
ファブリックよりメッシュの方がやはり好みだった
後傾姿勢を活かすために机をかなり選ぶ
パーツがアーロンなどのメッシュに比べて消耗したり壊れやすそうだった。実際HMで保証はされるもののアームレストの故障例はネットでよく見かけた
ファブリックの自然消耗はHMの保証外のようなのでその辺も不安
アーロンの後はこのエンボディを選びました。エンボディはアーロン、ミラ2とは大きく異なる方向性が異なる椅子です。エンボディは後傾姿勢のための椅子でファブリック使用。その一方でアーロンとミラ2は前傾姿勢のための椅子でメッシュ使用です。
パソコン作業には後傾姿勢が良いという説もあるため後傾に興味が大きくなったのがまず第一の購入へのきっかけでした(ただ結果的に私はパソコン作業に関しては前傾の方が好きで体の負担も少なく感じました)。
アーロンのサイズBの背もたれの高さは大きな不満はないものの個人的にもうちょっと高い方が好みでした。エンボディはかなり背もたれが高くそこが魅力的でした。また座面の奥行きはアーロンと違い調整機能があり、椅子の幅もアームレストがかなり内側に動かせるため体型にあわせやすいと感じました。
アーロンは良い椅子なのですがやはりメッシュシートでフレームがある関係上、足を崩した座り方(椅子の上であぐらをかいたりデスノートのL座り)がやりにくくリラックスにはあまり向いていません。その点ファブリックかつ後傾姿勢に重きを置いたエンボディは仕事とかの快適さは劣るかもしれないけれどゲームとかをする時にはより快適になるのではと考えました。オフィスで使うならアーロンだけど、家なら仕事とリラックスのバランスが良いエンボディが良いのではと。
エンボディは手放した理由に多々不満を書いているものの、いきなり買ったわけではなく試し座りはちゃんとしました(アーロンサイズAの失敗もあったため慎重になり店舗で1時間ぐらい座りっぱなし・・・)。また試し座りした時は上記の不満はまるで感じなく、逆に後傾時にエンボディが完全に体に密着して包んでくれる感じに惚れ込んでおりました。前傾好きの私としては前傾姿勢がないのは残念に思いつつも、椅子を一番起こした状態で満足できる程度の姿勢ができたのでまあ良いかなと思いました。
ただ試し座りでの体験は実際に起こる長時間パソコンを使うものではなく、椅子を起こして机で携帯を見たり、後傾姿勢でリラックス中心のものでした。そのため家で実際に使っているとまた違う感想がでてきました。
まずシートのサポート力ですが、心なしかこれは使用するにつれて弱くなった気がします。最初はあまりシートが沈むような不満はなかったのですがある程度使用して徐々に思ったよりもシートが沈むという不満を感じるようになりました。シートの沈みもあり、後傾姿勢になった時に背骨のS時をキープするのが私には難しく猫背になりがちでした。結果長時間後傾姿勢をしていると腰に負担を強く感じるようになってきました。
また個人的にメッシュチェアが好きなのでファブリックはあまり気が進まない点は元々あったのですが、やはりこれも不満になってしまいました。
メッシュに比べるとどうしても熱がこもりやすい。カナダだと日本ほど気にならないですが個人的にはやはりメッシュの通気性が好きでした。日本だと夏場利用などを考えるとメッシュの利点はかなり大きいと思います(ただその代わりメッシュは埃がめっちゃたまりますが・・・)。
ファブリックはメッシュよりも汚れがつきやすく落ちにくいので座る時に気を遣いがちという点もある他、HMの12年保証はファブリックの自然消耗などは対象外のようなのでそこも気になり、日本で買ったアーロンのように12年ぐらい問題なく使える耐久性なのかというのは不安に感じました。
一番エンボディが厳しいなと感じたのが後傾姿勢を活かすためにかなり机を選ぶということです。後傾姿勢になるとどうしてもキーボードが遠くなるんですよね。机との距離が上手く調整できないとキーボードを叩いてる時に腕が前に伸びた感じになって気をつけないと首から肩周りが伸びて緊張した状態になってしまいます。距離を縮めるには椅子を机の下に深く潜らせる形になりますが、そうなると今度はここの記事にあるようなアームレストのベストな位置調整ができなくなり、今度は肘をしっかり支えるものがなくて肩がしんどくなります。
これらの問題を全部解決するにはHM自体が出していたエンべロップデスク(現在は販売終了らしい)みたいな肘をデスクの上におけるような逆U字形のエンボディ用のデスクが必要になる、というのが私が感じたことです。私自身もAmazonでこのような机の拡張を購入したりしてみましたが、拡張の長さが足りず結局肘を安定して置けなく対して役に立ちませんでした・・・。この机への高い要求はスタンディングデスクが好きな上、今後引越しする予定がある私としては荷物を増やしたくないため重荷でした。
あと前傾姿勢や普通に椅子を起こした姿勢の時は良いんですが、後傾姿勢の時に首のS字を維持するのって結構大変なんですよね・・・。アーロンの前傾姿勢や普通に椅子を起こした姿勢では私はヘッドレストいらない派なんですが、後傾姿勢は上記理由からヘッドレストが欲しくなります。エンボディは背もたれがかなり高いですがそれでもやはり後傾時に首の良い姿勢を維持するのは辛く、後傾姿勢メインなのにヘッドレストがないのは正直中途半端に感じました。このヘッドレストがないことからエンボディを推していた理由の一つ、リラックス時の利用についても思ったほど長時間のリラックスに向いていないなと感じました。
ミラ2チェア
買った動機
アーロンと同じく前傾姿勢、メッシュが大好き
アーロンと異なり座面の奥行き調整がある
手放すことになるかもしれない理由
アームレスト同士の幅間隔が広すぎる
以上のようなことからアーロンサイズA、エンボディチェアは上手く自分にフィットしませんでした。余談ですがエンボディの購入を考えた時にHMのアーロンなどと同じく有名なオフィスチェア、SteelcaseのLeap v2も検討しました。こちらは試し座りなどもしたのですが当時はエンボディの方が好きと感じたため見送りました。
最終的に椅子を何にするかまた考える必要が出てきた時にもう一度Leap v2を検討しなおしてみることも考えたのですが、やはり大好きな前傾姿勢がないこと、メッシュではなくファブリックであることが理由でLeap v2はなしになりました。
そもそも前傾姿勢を条件にするとそれができる椅子はかなり限られています。なのでやはり日本と同様にアーロンサイズBに戻るかなぁと考えた時にオフィスで使っていたミラ2チェアのことを思い出しました。
ミラ2チェアは基本的にアーロンの廉価版という印象が強かったためアーロンが選択肢にある状態では検討対象外にしていました。しかし改めて見るとミラ2チェアはほぼアーロンと同じ機能を提供している上でアーロンにはない座面の奥行き調整機能があることに気づきました。
ミラ2チェアはアーロンと異なり1サイズしか展開していないですが、その代わり調整できる部分が豊富です。先述の座面奥行きの他、アームレストの移動可能な方向もアーロンより多いです。またアーロンに比べると背もたれが大きいです。感覚的には標準で椅子のサイズはアーロンのサイズB、背もたれだけはサイズCみたいな感じです。座面の奥行きは最小に調整するとアーロンのサイズAぐらいのものになります(ただこの奥行き調整は座面を丸めるように畳む形になり、座面端がかなり斜め下を向く感じになるので好みが分かれる。)
元々アーロンに対して背もたれはもう少し大きい方が良い、座面の奥行きは小さくしたいという要望があった私にはこれらを満たし、かつ、アーロンの好きな部分(前傾姿勢、メッシュ)を持つミラ2チェアの方が「アーロンサイズBよりもフィットするかも」と感じました。それが今回ミラ2チェアを選んだ理由です。
他にも機能重視の自分としては椅子を変えるほどの理由にはなりませんがデザインがミラ2チェアの方が好きという点もあります(またミラ2チェアは色の選択肢もかなり豊富なのでこの辺がアーロンより魅力的に感じる方もいるかもしれません)。
ただミラ2チェアも良いことばかりではなく感じている問題があります。それはアームレスト同士の幅間隔がかなり広い(アーロンチェアよりも広い)ことです。ミラ2チェアはアームレストを内側に動かすことができますが、あまり可動域が広くなく最小にしてもアーロンより広いです。これはアーロンサイズBに元々椅子の幅が少し大きいと感じていた私には不満点になる可能性が大きいです。実際海外のレビューを見ていてもミラ2チェアであがる不満点は主にここで、「5'6"(168cmぐらい)より背が低い人にはこの幅はきついかも」など言われています。
その他にもミラ2チェアのアームレストは先端が少し丸く変わった形状をしています。これも好みが分かれるところだと思います。
ひとまず私はミラ2チェアに落ち着きますが、今後仕事に加えて自宅でも使っていってこの辺の感じ方が我慢できないほどの不満に変わるかは気になるところです(そうなったら恐らくアーロンサイズBに戻り、それが最後になると思います・・・)。
アームレストの件は残念ですが、個人的には背もたれの高さと座面の奥行き調整ができることから日本人男性にはアーロンよりもミラ2チェアの方があう体型の人が多いんじゃないかなというのが私の思うところです。
最後にもう一点ミラ2チェアの欠点を挙げるとすればリセールバリューが他2つの椅子よりも低いことです。アーロン、エンボディは傾向が異なるオフィスチェアのそれぞれトップに立っているので買い手がつきやすいし売る時の価値もミラ2チェアほど下がっていないと感じます。
ミラ2チェアはアーロンに負けない良い椅子と思いますが、私が当初そうだったようにどうしてもアーロンの廉価版のイメージが強く、これが足を引っ張り売る時は他2つの椅子より不利になると思われます。
まとめ
以上、私の理想のオフィスチェアを求めた奮闘記録でした。
月並みなまとめですが、突き詰めると結局万人にあう椅子というのはないと思います。それは各々の体型が椅子にあうかどうかのとても重要な要因になるからです。
ただどの椅子が良いか試行錯誤した結果、以下の選択肢は個人個人で決定的に好みが出るものと感じました。仮に他方がいかに良い椅子といわれていても、この好みの違いを覆すことはできないと感じます。なので椅子を選ぶ際はまずは自分がこれらの選択のどちらが好きかを知ることが大事だと感じます。
メッシュ vs ファブリック
前傾姿勢 vs 後傾姿勢
私はメッシュ激推しですがメッシュは硬すぎたり体に食い込んで痛いという意見もあります。アーロンのレビューとかでも多々言われていますがメッシュに対する意見は極端(大好きor大嫌い)な一方ファブリックは無難に好きという意見を広く集める傾向があります。
後傾姿勢ができる椅子は多々ありますが前傾姿勢ができる椅子はかなり限られています。もし私のように前傾姿勢がピタっとはまった感覚を受けた方はそれにしがみついた方がいいかも。
残念ながら私はエンボディがあまりあいませんでしたが、エンボディを絶賛されている人が多々いるのも事実です。なので本当に体型や好みの影響はかなり大きいと思います。
上記の通り、自分の体型にあうかどうか、自分の椅子の好みはどれかを確認するために試し座りしてみることはとても大切です。ただ難しいのは、この記事では各椅子に色々ケチをつけていますが、どの椅子も試し座りで座った程度だと普通の椅子に比べるととても快適に感じると思います(私がエンボディでそう感じたように)。試し座りをする際はぜひ自分の用途や机にあうかなども注意深くイメージしてくださいね。
この記事が皆さんの自分にあった最適な椅子を見つける助けになれば幸いです。もし記事が参考になればスキをいただけると励みになります!ここまでお読みいただきありがとうございました。
※ちなみにカナダのバンクーバーだと以下の場所でHMとSteelcase Leap v2の試座ができます。
EQ3 South Granville (アーロンサイズB/C、エンボディ、ミラ2)
Heritage Office Furnishings (Leap v2、要アポイントメント)
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