見出し画像

台湾BLドラマ「Red Balloon」 (紅色氣球)

主演:シュー・タオ(徐韜)、エドワード・チェン(陳昊森)、シェー・クンダ(謝坤達)、リャン・ツェ(亮哲)
2017年 全8話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★★
(写真=维基百科,自由的百科全书より)

40話以上ある中国ドラマを2本、なかなか濃い内容の韓国ドラマを1本観終わったところで、ちょっと気分転換にBLドラマ。現在も40話以上ある中国ドラマを3本、30話前後のを2本、台湾ドラマを2本視聴中だが、どれもまだ半分まで達していないので、「華流ドラマの合間のBLドラマシリーズ」と勝手に題して第1弾目。

2020年の台湾BL映画「君の心に刻んだ名前」の主人公の一人だったエドワード・チェンが他のBL作品にも出ていると知り、興味を持って観てみた。この作品の方が古く、ドラマといってもまたまた1話10分ほどで全8話なので、映画一本見る感じでほぼ一気見(最終話のみ20分)。他の記事でよく「短すぎる!」とこぼすが、考えてみればこういうのも息抜きに悪くないかもしれない。

2017年 台北

鏡に映る自分の姿を拳銃で打つシーンで始まるこのドラマ。何やら物騒なストーリーなのかと心配していたら(あらすじ読まずに観始めてる)、小さい子供がいる夫婦が離婚協議書にサインする場面となる。リャン・ツェ演じるシャー・ズーチェン(夏之晨)と妻は数年間の結婚生活にピリオドを打つことにした。妻は探偵に依頼して夫を尾行させていたのだが、探偵の報告を聞いて驚く。夫には愛人なんかいなかった。毎日同じルーティンの繰り返し。しかし毎月一度台中にある母校の高校を訪れていることから、彼が隠し持っていた古い写真、そして1年前に写真撮影の際に会った夫の古い友人のカメラマン、シェー・クンダ演じるリー・シャンワン(李向晚)を見て、彼の秘密を理解したのであった。

2003年 台中

シュー・タオ演じる転校生リー・シャンワンは、カメラを持って新しい学校内を散歩しているうちにシャー・ズーチェン(エドワード・チェン)を見かけて、写真を撮らせてもらう。嫌がるズーチェンだったが、そんなきっかけで二人は知り合い、クラスは違うものの偶然寮の部屋が一緒だということが判明。ズーチェンは勉強一筋の優等生だったが、少しずつ人懐っこいシャンワンと打ち解けていく。
シャンワンは実はゲイ。前の高校で教師と恋に落ちてしまったため親に転校させられてしまったのであった。ズーチェンに惹かれているのだが、優等生の彼に迷惑をかけたくないと思い、少しずつアプローチはするものの、距離を置くようにしていた。しかし、ズーチェンも少しずつ自分に心を開いてくれているのを感じるようになる。
この二人とは別に、同級生でゲイというのを理由にいじめられているシューヤン(許洋)という男子学生のストーリーが並行する。ズーチェンとシャンワンとはほとんど絡むことはないのだが、ドラマにおいて重要な役割を果たしている。

あれ、ちょっとストーリー似てない?

高校生の男子二人が恋に落ちるものの、結局親に引き離され、一人は一応結婚して子供もいる。しかし、やはりお互いのことが忘れることができず、数年後に再会。
あれ、これってプロットは「君の心に刻んだ名前」と同じじゃないか?
主人公の一人が同じなので、それに惑わされる部分もあるかもしれないが、それにしてもいじめられているゲイの同級生、風船と気球など、いくつかのシーンはなんとなく「君の心に・・・」のフラッシュバックを感じた。でもこのドラマの方が古いので、もしかしたら映画の方がこれを原作としているのかと思って調べてみたが、監督も違うし、そうではないらしい。

赤い風船の意味

ウィキペディアによれば、このドラマの標語はこういうものだ。
我是紅色,我是氣球,我是彩虹的第一道光譜。
(僕は赤、僕は風船、僕は虹の最初の色)
(↑注意:日本語訳は中国語から私が訳したテキトーなもの)

下の記事によれば、2017年という年は台湾で同性婚を合法化しようという判断が下された年らしい。実際に施行されたのは2019年からのようだが、2017年にはHIStoryシリーズや「Dark Blue and Moonlight (深藍與月光)」などのもはや台湾BLドラマの定番となった作品が生み出されている。このドラマもLGBTの社会運動の象徴としてのレインボーフラッグの一色目の赤の風船を飛ばすことによって、これからの自由な世界へ向けての希望を表しているように思える。短いが、とてもいいドラマなので、オススメ。

どこかで読んだのだが、インタビューでエドワード・チェンがなぜLGBT作品に出演するのかと聞かれた際、彼の姉か妹(英語で読んだのでsisterとしか書いてなかった)がレズビアンで、彼女に対する自分なりの支持の表明だと答えていたらしい。そういうモチベーションもあるのだなと感心した。もう一作、彼の出演しているLGBT作品があるので、それも近々観てみたい。

こちらはエンティングテーマの「晩安」という曲♪もちろん「おやすみなさい」以外のもう一つの意味も込められているんだろうな。他のOSTもみんなよい。