フィリピンBLドラマ「Gaya Sa Pelikula」(Like in the movies)
主演:イアン・パンギリナン、パオロ・パンギリナン
2020年 全8話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★☆☆
(写真=Rappler.comより)
「2020年度のアジアベストBLドラマはこれ!」みたいなトピが、いくつかのグループで年末に出たが、ほぼどこでも満場一致で次の作品が挙げられていた。
タイ「I told sunset about you」
日本「30歳まで童貞だと魔法使いになれるらしい」
台湾「君の心に刻んだ名前」(映画)
韓国「君の視線が止まる先に」
フィリピン「Gaya sa Pelikula」
この中でフィリピンのだけが未視聴で、年末にフォローしている404さんの記事を読んでずっと気になっていたのだが、やっと観た!
ひょんなきっかけで同棲を始める二人
パオロ・パンギリナン演じる建築学科の大学生カール(Karl)は、家族の伝統により、19歳になったので自立して生活するよう、叔父のアパートで一人暮らしを始める。生活費を自分で稼がなければならないのだが、ライターの仕事を始めるも、なかなかうまくいかない。叔父のアパートとはいえ、家賃を入れなければならないのだが、なんともお金が足りない。
イアン・パンギリナン演じる、隣に住むヴラッド(Vlad)は、姉ジュディットが実家へ連れ戻そうと、アパートも解約されてしまうが、どうしても戻りたくない彼、カールに家賃を出してやるから一緒に住まわせてくれと持ちかける。その際、ゲイのヴラッドは姉に「新しい彼氏と一緒に住むから!」と説得するのだが、カールはびっくり!しかし、彼も家賃が必要なため、ヴラッドに口裏を合わせることにした。
アライであることを公言するジュディットは、それならと引き下がるのであった。
こうして始まる同居生活、整理整頓、綺麗好きなカールと、食べっぱなし、散らかしっぱなしのヴラッド、衝突して喧嘩してばかり。しかし、映画好きという共通の趣味があることがわかったところから、少しずつ仲良くなっていく。
お互いに惹かれあっていくことに気がつくのであるが、ストレートであるカールはヴラッドに対する感情に戸惑い始める。
ただの友達?それともそれ以上?
自分へのカミングアウト
私にとっては初めてのフィリピンドラマ。上の記事の日本語字幕付きのもあるという記述をすっかり忘れていて英語字幕で見てしまったが、なんだか英語とタガログ語のちゃんぽんで面白かった。英語だからと思って、ふっと字幕から目を離すとタガログ語になっていて、え?なんだって?とまた字幕を見て、の繰り返しでややこしい(笑)。でもタガログ語というのもスペイン語の単語が非常に多く、これも聞いていて面白かった。
と、そんなことはどうでもよくて、このドラマの大きなテーマとなっているのは自分のセクシュアリティについての葛藤である。ヴラッドは家族やまわりの人にはゲイであることをカミングアウトしているが、カールはストレートである。しかしヴラッドへの感情は?自分自身のセクシュアリティをなかなか受け入れられないでいるカールの姿は、ちょうど少し前に読んだ次の記事に説明されているような、”自分へのカミングアウト”までの期間であるのだろう。
このドラマの制作発表の際の二人の俳優へのインタビューを読んだが(二人は同じ姓だが、親戚とかではないらしい)、カールを演じたパオロ・パンギリナン自身もクィアだそうで、この役をやりたくてオーディションに応募したそうだ。
ヴラッドと二人だけの時は素直になれる、でも他の人には絶対に知られたくない。アライであるジュディットや隣人のアンナにさえも、しかしまず自分に対してカールは素直にはなれないのであった。
映画というより音楽。。。
タイトルは”映画のように”というような意味で、確かに二人が映画好きで映画を見るシーンも多く、アパートのインテリアの小物にもそれが表れているが、あまり映画にリンクさせる必要は無かったのではないかと思ったり。一応この二人のストーリー自体を映画っぽくしたかったのかもしれないが、それよりか個人的には挿入歌の使われ方の方が面白かった。シーンごとに歌も違うし、歌、そしてそれに合わせてダンスをするシーンなども長く撮ってあり、歌詞も字幕で出てきて、ちょうどその時の彼らの感情を歌い表しているものもあり、いい使い方がされていると思った。
他のフィリピンBLをまだ観ていないので、これを昨年のベストに選べるかというと個人的には微妙だが、いい作品なのでオススメではある。YouTubeで公式配信されている。
こちらは予告編。たくさんある挿入歌は、YouTubeでプレイリストになっているので、興味のある方は音楽の方も是非♪イアン・パンギリナンも一曲歌っている。