タイBLドラマ「The Effect The Series」
主演:James Prapatthorn Chakkhuchan(ジェイムズ)、Oat Chakrit Boonsing(オート)
2019年 全3話
いしゃーしゃ的オススメ度:★★★★☆
(写真=IMDbより)
この作品もちょっと前にアジアBLドラマファンの間で「過小評価されている作品」としてオススメされていたもの。タイBLドラマはすでに2本視聴中なので、観るつもりはなかったが、調べてみたら全3話、トータル3時間なので、あっという間に観てしまった。
オススメ度を4つ星にしているが、この作品は決して楽しい内容ではない。他のレビューを書いている方達も警告しているが、SNSでの誹謗中傷とレイプ、それらによるPTSD(心的外傷後ストレス障害)についての部分があるため、そういう内容に不安がある方は無理には視聴しないように。
新入一年生と憧れの先輩
大学に入学したばかりのシン(Shin、ジェイムズ演)は、引っ込み思案で高校時代は友達もいなくて不安だったが、ター(Ter)というガリ勉君と、ブライト(Bright)という明るいおちゃらけものの二人と仲良くなることができた。
大学大使(学生自治会の会長のようなものか?)を務める先輩のケン(Keng、オート演)は背も高くハンサムで、学生みんなの憧れの人。シンも学校のポスターで見かけたり、インスタでチェックしては彼に憧れていた。
ある日、シンは試験の際にネクタイを締めていくのを忘れてしまい、急いで取りに戻る。そこでケン先輩とぶつかってしまうが、試験に遅れてはいけないと先輩が自分のネクタイを貸してくれたのであった。
そんな出会いをした二人、ケンはシンを可愛く思い、勉強も見てやる。先輩に気にかけてもらいシンは嬉しい反面、他の学生たちが自分のことを噂にしているのがとても気にかかる。シャイな彼は目立ちたくないのだが、ケン先輩に憧れる女生徒たちからいちゃもんをつけられたりする。
もう一人、ケンとシンが仲良くするのを快く思わないものがいた。ケンの親友のマン(Man)である。実は彼はケンのことが好きで、何度も告白しているのだが、恋愛対象とはみなされないのだった。しかし、どうもケンはシンのことが好きなようだ。マンはシンに嫉妬するようになる。
二重の被害者に
ケンの誕生日の夜、マンや仲間たちは彼の家でパーティーをするが、シンも誘う。酔い潰れたケンをシンが寝室まで連れていってベッドに寝かせてやる。この時、二人は何もしていないのだが、あたかも二人がキスしているように見えるアングルで誰かが写真を撮っており、それをSNSへあげてしまうのだった。
そこから大学内でシンへの非難が始まる。もちろんSNS上での非難だが、大学大使も務める優等生のケン先輩に何をやったのだ?何様のつもりだ?お前のせいでケン先輩は大学大使を辞めさせられるかもしれない。
ケンは大学大使のポジションなんか気にしていない。今までは親に命令されるままに勉強もして、優等生になったが、そんなのは本来の自分ではない。それよりもシンのことが好きなことを自覚し、告白する。しかし、シンにとってケン先輩はあくまでも憧れの対象であり、恋愛感情は持っていなかった。ケンはその事実を受け入れられず、シンを自分に服従させようとする。
SNS、親による“エフェクト”
タイの多くのBLドラマでは、比較的男子たちの同性愛がみんなに受け入れられているような描き方がされており、女の子たちが応援するようなことが多い。しかし、このドラマでは皆がより伝統的な価値観を持っていて、同性愛は非難の対象となっていて、特に女子学生たちは受け入れていない。そしてそういった非難が次々とSNSでみんなと共有されていく。
ケンも親友のマンが自分に恋愛感情を持つのは受け入れないが、自分の気持ちはシンに無理強いする。親から命令され、服従するのは嫌なのだが、同じことをシンに対して繰り返しているのである。
このドラマの英題である英単語の"EFFECT"、日本語だと「(結果を引き起こす)効果、影響」となるが、「効果」というとポジティブが感じがしてしまう。ここではSNSの利用や、親の教育によって引き起こされるネガティブな「作用・影響」ということに焦点を当てており、様々な形の人間関係といったものを考えさせられる。タイにしては珍しく、3話にうまくまとめられていたドラマであった。というか、これ以上長いとかなりヘビーになってしまっただろう。
OSTは「UWMA」や他のタイBLドラマにも曲を提供しているBOY SOMPOB♪彼の歌声はこういうドラマには合うのかな。これはファンの作ったドラマのトレイラーにもなっているMVバージョン。