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内田美由紀
2024年11月19日 00:48
昔、男がいた。思いをかけていた女の所に、ひじき藻というものを贈ると言って思ひあらば葎(むぐら)のやどにねもしなん ひしきものには袖をしつつも (もし思う気持ちがあれば雑草の生えた家の庭に寝もしよう。ひじきではないが引いて敷く物には袖をしながらでも) 二条の后が、まだ帝にもお仕えなさらないで、普通の人でいらっしゃった時のことである。万葉集なら「やど」は「屋の外」すなわち「庭」な