シェア
内田美由紀
2023年5月6日 23:03
お供である人が、酒を従者に持たせて、野を通ってやってきた。「この酒を飲もう」と言って良いところを探し求めて行くと、天野川というところに着いた。皇子に、右馬の頭(うまのかみ)がお酒をさし上げる。皇子のおっしゃるには、「『交野を狩して、天の河のほとりに着いた』を題として、歌を詠んで、盃をさせ(杯に酒を注げ)」とおっしゃったので、例の右馬の頭が、詠んで差し上げた。 かりくらし たなばたつめに
2023年5月6日 22:33
昔、惟喬親王と申し上げる親王がいらっしゃった。(この京都から見て)山崎の向こう、水無瀬というところに離宮があった。年ごとの桜の花盛りにはその御殿へなあ、いらっしゃったのだった。その時、右馬頭(右馬寮の長官)であった人を、いつも連れていらっしゃった。時が過ぎて久しくなったので、その人の名を忘れてしまった。狩りは熱心にもしないで、酒ばかり飲み、飲みながら和歌を作っていた。今、狩りをする交野