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行方知れずの威勢を探さない

わたしの威勢がいなくなって早1カ月。どこにいってしまったんだろうか。

ライティング講座に行った後、ぐわんと盛り上がった文章書きの意欲がいつのまにかすうっと冷めた。
そこから、書けなくなった。書く意味を掴みたいと思うけれど、書こうと思うときには他の生活で疲れきっていて、キーボードを出す気持ちにもならない。
iPhoneにちいさなメモを作ることはできるから、それだけをちょろちょろとため込むだけの日が続く。つながりのないメモに、つながりを見出そうとひとつずつ覗いてみるも、メモしたときの自分が他人のように思えて仕方なく、そっと閉じた。

今日、福岡に移住したときの家を決めた。決めて申し込んだだけで、まだ確定はしていないけれど、とてもテンションが上がった。小さな道を挟んで海の目の前の家。大型犬も飼えるらしい大らかなマンション。砂浜も歩いて1分かからないだろう。海のそばに暮らす夢が叶うかもしれないと、ウキウキしている。だから。
暗い部屋で子どもの寝かしつけが終わってからも「このまま寝ようか」と目を閉じたにもかかわらず、静かに心踊ってリビングに続く襖に手をかけた。
風呂上がりの夫がいた。
ソファに座ると、その隣のクッションに沈み込んでPCを開いた夫からインタビューを受ける。子育てに関するサービスを作りたいとのこと。しばらく話していると、夫が黙って宙を仰いで考え始めた。しばらく待って「もう終わり?」と声をかけると「うん、一旦」と言うのでキーボードにむかって文字を打つ。1カ月ぶりだけど、こうして何がしかを書ける。
リハビリだ。書くことの。

威勢だけで書いていたときよりも、素直にしなやかに書けているんじゃないかなあ

書く意味なんて掴めなくても書くと決めてみた、だけ。

でも、大事に想っていたからね。戻ってきてもいいよ、威勢。

あなたなしでも生きていけるわたしとして、あなたを愛するよ。


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