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2020年8月4日 存在するだけで救いになる

今年1月に公開になった、映画「his」のDVDが届く。1月末から3月までの間に何回観に行った事だろう。今泉監督が創り出す優しい世界、主演の迅(宮沢氷魚さん)と渚(藤原季節さん)の温度感が心地いい。ロケ地の岐阜県白川町に行けば二人に会えるかもと錯覚するほど。
これから好きな時にいつでも観られると思うと本当に嬉しい。


「優しさを計算する」

特典映像として収録されている未公開シーンの解説で、登場人物の優しさが伝わるよう試行錯誤された様子について書かれていた。
あまりに自然だったけど、あれは創り込まれ計算し尽くされた優しさだったんだ。エンターテイメントを創作するってそういうことだとわかったつもりでいたけど、本当に緻密に緻密に計算して試行錯誤してそうやって研ぎ澄まされた、削って削ってやっと作れる純米大吟醸のようなものなんだ。


好きな人が真剣にその役を生き、監督、演出、編集などの手で計算され切り取られ紡ぎ出される世界。若い頃は読書の方が想像の余白が多い気がして映画より読書だったけど、温度の合う映画のどっぷり浸かれる感、満たされる感は映画でしか味わえない。そう感じることが出来た事、そして満たされる映画に出会た事、本当に嬉しい。


今回のhisのDVD、購入特典で氷魚くんのクリアファイルがついていた。その内容は知っていたはずなのに、包みを開けてファイルを手にした時、なんともいえない気持ちになった。
ファイルの氷魚くんは映画の宣伝でなんども目にしていた姿と、その衣装のシーンはわかるけどこんなカットなかったようなという姿。とても美しくて優しい佇まいの、大好きな迅(作品中の役名)である氷魚くんがそこにいた。
ずっと気持ちの晴れない日が続いていたけど、その姿だけで救われる思いだった。

氷魚くんありがとう。
その姿を見せてくれて、元気で生きていてくれて、作品の中の役を生きてくれて。
氷魚くんは持って生まれたものやこれまでの生き方なんだろうけど、透明で真っすぐ。出さないだけなのかもしれないけど、悔しさや嘘や嫉しさや思いが届かない苦しさみたいなものをこれからたくさん経験して、美しく素質ある人からさらなる進化をしていくのだろうなと思う。これからもその過程を楽しみに応援していきたい。

疲れたら休みながらでいい、いやなら辞めても仕方ない、だから突然いなくならないでと願う。


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