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カントクのつぶやき

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伊勢真一カントクのつぶやきです。月1で更新しています。 「カントクのつぶやき」がはじまったのは1999年。 ツイッターがはじまるずっと前から、カントクはつぶやいていました。 月に…
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#上映後トーク

「100年の記憶」

2024年 9月  本当に『大好き』は、いつもに増して感想が素晴らしい。アンケートに書かれた感想だけでなく、手紙やメールにもとても心動かされるものがあります。私の映画をよく観てくれている30代の旧知の女性から送られてきた手紙にも感動したので紹介します。  重い病気をしたので、今、子どもを産むと障がいのある子ができる可能性がある、と医師に言われ悩んでいたという彼女が、たまたま『大好き』を観て心が決まった、という内容でした。  「障がいを持ちながら、元気に50歳を迎えた奈緒

「創ってよかった」

2024年 8月  奈緒ちゃん、51歳の誕生日の頃から始まった『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』4週間の封切り上映が、ようやく終わった。  草臥れた。  お客さんの入りに一喜一憂する日々だったけど、この暑い中、足を運んでくれる方々を思うと、ありがたいような、申し訳ないような毎日だった。  たかが映画、されど映画…。今回もまた、お客さんの感想に励まされた。ああ、創って良かったなあ、と思わせてくれました。  トークで感想を読み上げて、「映画より、感想の方がいいんじゃ

「いのち」の想い

2024年 4月  桜が咲いて、散って…  毎年のことながら、あっという間だなあ、と地面に落ちた花びらを見る。  散り際がいい、という思い入れで、軍国主義の時代に桜のイメージは利用されたみたいだ…「死んで来い!」ということだ。  桜は、花を咲かせて散っただけ、ただ懸命に「いのち」を生きただけで、その在りようを見て人は、美しいと素直に思っただけのことなのに。  小賢しい奴が、「政治」に都合よく利用したんだな。  昔も今も「政治」は、利用することばかり考えているんだ…。生きと

「記憶」映画作家

2024年 3月 撮影が始まって、今年で42年…。 まさか、こんなに長く撮り続けることになるとは、思ってもいなかった。 障がいのある姉の長女、姪っ子の奈緒ちゃんと家族の普通の日々を、何日間か撮ってまとめようと、ちょっとした思いつきから始まった企画…。「映画」と呼べるほど立派なもんじゃない、ささやかなプライベートムービーのつもりで。 主人公の奈緒ちゃんは「長くは生きられない…」と医者に言われるほど、重いてんかんと知的障がいを併せ持っていたから、せめて、元気なうちにその姿を記

弱さの光

2023年 6月  5月の終わりから、随分沢山の夢を見た。あれは夢だったのか、「映画」だったのか、それとも私の記憶の断片だったのか…。  実は、5月の終わりに入院、手術をしてました。「がん」でした。何とか手術を終え、ようやく退院したところです。  その手術後数日、モーレツに眠り、そして夢のようなものを、浴びるほど観たんだ。あれは一体何だったんだろう…。まさしく、カオスという感じで、そのほとんど全てをキレイサッパリ忘れちまったけど。  おかげさまで手術はうまく行きました。

大好き〜好きなものは好き。

2023年 5月  紫陽花の季節。  日曜画家だった母が好んで描いた花だ。決して上手くはなかったけど。  母を疎ましく思っていた頃には、紫陽花を好きになれなかったけど、この頃は素直にキレイだ、イイナと想うようになった…。  この春は新作『Pascals(パスカルズ)〜しあわせ のようなもの〜』の上映と、次回作『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』の製作資金集めのための上映会に、夢中になって取り組んでいた。  映像の仕事を始めてから50年、いつだって夢中だったから、ずっ

春は来る

2023年 4月 どんなことがあっても、春は来る…。 私のスマホは今、野の花々で満杯… ガラケイからスマホに携帯電話を変えて一番良かったのは、映像機能を使って自前の花園を楽しめることかな? 仕事の行き帰りに路端で撮りためた花々が 「ヨオ、元気にやってるかい?」 と、赤・青・黄色・白…色とりどりに声を上げて春を告げてくれています。 と言っても、私は花の名前をほとんど知らない。 花に元気づけられて、この春から、今も撮影中の「奈緒ちゃん」シリーズ次回作の製作・上映支援プロジェ

2024春公開予定!次回作『大好き〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』製作・上映支援 映画会 vol.1 [4/2日.下北沢ラ・カーニャ]

“奈緒ちゃんシリーズ”第5弾となる次回作 『大好き 〜奈緒ちゃんとお母さんの50年〜』 を応援する映画会です。 2023年  4月2 日(日) 13:30〜『奈緒ちゃん』 16:00〜『やさしくなあに 〜奈緒ちゃんと家族の35年〜』 *各回 上映後、伊勢真一 監督と西村信子さん(奈緒ちゃんの母)のトークあり。 [会場]下北沢 ラ・カーニャ(東京都世田谷区北沢2-1-9 第二熊崎ビルB1) [料金] 各回トーク付:2,000円(税込) 一日通し:3,000円(税込) [ご

「しあわせのようなもの」

2023年 2月 1月29日(日)。日比谷図書館のホールで映画生活50年の記念上映会を企画し、150人近い方々が集ってくれた。上映作品は長編処女作『奈緒ちゃん』と最新作『パスカルズ〜しあわせのようなもの〜』。最新作はお披露目上映だったので、ドキドキだった。  感想はいつもながら映画以上に豊かなイメージを語ってくれています。私の映画は作品そのものよりも感想の方が素晴らしい、と口の悪い仲間は言うけど、本当にそうだ。 映画が観た人の心の扉を開けて、イメージを引き出しているんだか