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恋愛未経験の30代アセクシュアルの婚活④お見合いスタート

※個人を特定できないように表現しています。性的な指向、内容にも触れますので苦手な方はご注意ください。


 結婚相談所には入会バブルというものがある。新入りには申し込みが集まりやすいのだ。早速、申し込まれから4人、申し込みから3人、事前に決めておいた最低条件をクリアしている計7人が決まった。

 私は初対面の人に対して、接待の時のようにインタビュアーになりやすい。なんでもいいので質問をし、返ってきた返答にさらに質問する。これを繰り返すことで間を作らないようにしたいのだ。
 マッチングアプリで学んだのだが、インタビュー形式はモテる男性には嫌われやすく、女性慣れしていない男性には好まれやすい。おそらくモテる男性は質問ばかりで値踏みされているように感じ、そうでない男性は興味を持たれていると思い嬉しく感じるのだろう。
 どちらにせよ、インタビュアーになっている時は話を繋げるのに必死で私の気持ちは盛り上がらないことが多い。お見合いでも同じことが起きないか心配していた。

 7人のお見合い相手だが、スペックは最低条件をクリアしているためほぼ同じ(30代、大卒、172センチ600万以上)。スペックだけなら誰でもOKの状態だったので会話に集中できた。

  • 1人目 インタビュアー度:中
    微妙な距離感の先輩社員と雑談する時のような時間だった。初回から住まいの話を出してくれるなど前向き。仮交際に進む。

  • 2人目 インタビュアー度:MAX
    完全に接客状態で、ほぼ自分の話はできなかった。前向きなのがわかったので辛かったが、お断りすることに。

  • 3人目 インタビュアー度:小
    友達の優しいお兄さんと会話する時の雰囲気に近かった。同じくらい質問し合い、自然と深い話ができた。仮交際に進む。

  • 4人目 インタビュアー度:中
    スポーツの授業であまり仲が良くない体育会系のクラスメイトと話す時のような距離感だった。質問中に金銭面などで価値観のズレを感じ、お断りすることに。

  • 5人目 インタビュアー度:大
    共通の友達がいなくなり取り残された2人のような空気感だった。物静かなイケメンだったが、キープ要員だったのかこちらに興味がないのが伝わってきたのでお断りすることに。

  • 6人目 インタビュアー度:大
    他部署の優秀な人と仕事で初めて話す時のようなテンポ感だった。コミュ力高めの常識人だったが、質問責めしすぎてしまい、お断りされることに。

  • 7人目 インタビュアー度:小
    友達の友達くらいの距離感で、無難に同世代らしい会話ができた。仮交際に進む。

 インタビュアー度という謎の尺度をつけてしまったが、うまくいった人はその度合いが低かった。質問を考えるのには多少頭を使うので、それをしなくていい相手だとリラックスできたのかもしれない。

 7人中3人と仮交際に進んだのだが、このうち1人目の「微妙な距離感の先輩社員」さんは初回デートで終わってしまった。最初から「もう僕たち結婚するんですよね!」というテンションだったのと、下系の話題が炸裂してきたのが理由だ。私はリアルタイムの自分の感情を感じにくく、特にネガティブな感情は遅れてやってくるのだが、初対面の関係性で下系の話題を出されたことにじわじわ違和感が湧いてきてダメだった。

 自分への好意に気がつくと相手への気持ちが引いてしまう心理といえば蛙化現象(当初の意味合いの方)だ。蛙化現象は自己肯定感の問題だというが、生育環境的に思い当たる節があり、時々これなんじゃないかと悩んでしまう。
 自己肯定感とアセクシュアルの関連についてもたまに考える。性的なことへの嫌悪感を噛み砕くと、いろんな要素がある。自己嫌悪=肉体を手放したい=性的な行為で身体性を感じるのが嫌だ、とか。自己制御が効かなくなる快楽というものに対する恐怖とか。

 ともかく仮交際が決まった2人との関係性に集中しなくては。こんなことを伝えるのはまだまだ先の話だし、考えすぎるのも精神衛生上よくない。理屈っぽく進めるのにも限界はあるわけだし、できるだけいつも素直でいたいと思う。

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