恋愛未経験の30代アセクシュアルの婚活①結婚相談所に入会
※個人を特定できないように表現しています。性的な指向、内容にも触れますので苦手な方はご注意ください。
婚活を始めたきっかけ
これはかなりはっきりしていた。アセクシュアルだけど、子どもが欲しくなったから。
後半は婚活の理由としてよく挙げられるが、前半部分に該当する人はそう多くはないのでは、と思う。今でこそ概念として広まりつつあるアセクシュアル(他者に性的な関心を持たないこと)だが、この言葉を知ったのはつい数年前だった。
高校生の頃から恋愛に興味が薄い自覚はあったが、大学・大学院生になっても学業が本分だからと異性に関することはすべてスルー。そのまま社会人になった。流石にパートナーを作らねばとマッチングアプリに登録したり、友人から紹介してもらったりして、2〜30人の男性とデートを重ねた。しかし友人としての感情以外が一切沸かず、自分に対して困惑していた。そんな時、メディアか何かでアセクシュアルという概念を知った。
「まさにこれだ!」と思ったと同時に、「それって恋愛を諦めろってこと?」と悩んでいるうちに20代を終えた頃、突然強い欲求が湧いてきた。子どもが欲しい、家族が欲しいということだった。
周りに既婚者が増えたからかもしれない。仕事が辛くなってきたからかも。はたまた年齢的に本能が目覚めたのか。とにかくこの思いは突然胸に湧いてきた。アセクシュアルなのに子どもが欲しいなんて矛盾してない?ともちろん思ったし、結婚なんて相手が可哀想だ、とも思った。
ひとまず、パートナーシップに性的関係を求める人がほとんどを占めるマッチングアプリはやめて、別の道を模索することにした。結婚相談所を検討したのは、そこになら自分と同じように恋愛経験がなく、興味もなく、もしかしたらアセクシュアルという指向を持つ人だっている可能性があるかもしれないと考えたから。
私のスペック
なんだか即物的な表現だし、スペックという言い方はあまり好きではない。しかし婚活関連のSNSを見ているとよく目にするので、自己紹介を兼ねて記載する。
30代前半、女性
技術系の有名大学・大学院卒
都内大手企業の正社員
年収は同世代平均の倍額
身長高め、痩せ型
並の顔立ち
なんだよ結構ハイスペじゃんと捉えられそうだが、告白されたことはおろか手を繋いだことすらないのだから、人間をスペックだけでは判断できないと思う。となるとつまりコミュニケーション力に難があるのでは? と想像されそうだが、人と話すのは好きで、友人もそこそこおり、普通に社会生活を送れる程度のコミュ力はあると自認している(あくまで自認だが)。
恋愛関係ではなく、人と人との付き合いでなら異性とも仲良くできるけれど、そういうニュアンスが生まれると心理的距離が生まれてしまう、という状況を30年以上繰り返してきた。
結婚相談所選び
相談所を決めるにあたり色々と調べたが、特に参考になったのは、大西明美さんという仲人の方のYouTubeだ。毎朝一本ずつラジオスタイルの動画をアップされるのだが、とにかく分析力がものすごい。
婚活を通して人間の本質を看破する視点、また、人生で大切なものはなんたるかまでが分かるような鋭い切り口でお話をされている。これから婚活をされる方には必聴のチャンネルだと思う。
大西さんは個人で結婚相談所を経営しており、特定の時期にしか会員募集をされていないため、入会は叶わなかった。しかし大西さんが動画内で婚活ゴールデン期間と呼んでいた、お見合いが組みやすい年齢に自分が該当していることを知り、それならばひとまず大手相談所に入会してみようと考えた。
さまざまなモノやサービスを比較検証する「マイベスト」というサイトで結婚相談所のことがとても詳しくまとめられていた。その中からとある大手相談所の無料相談を予約し、さっそく足を運んだ。
https://my-best.com/2688
大手相談所に入会
無料相談は営業を受ける場であることはわかっていたが、あなたは結婚できる人です! と強めにプッシュされた。下調べは済んでおり元々入会する気でいたので、当日に契約した。お金を払う前に担当の仲人さんに会えないのは少し不安だったが、もし問題を感じたら変更も可能とのことだった。
入会してまずやることはプロフィール用の写真撮影だ。基本的にアプリを通してやりとりするのだが、これが結構マッチングアプリと仕様が似ている。違う点があるとするなら、独身証明書と収入証明書が必須となるためプロフィール内容に虚偽はないこと、家族の情報を記載すること、そして担当仲人さんのPR文があること、くらいだろうか。当然と言えば当然だが、仲人さんの有無が最大の差異になる。
お見合い用のワンピースを購入し、フォトスタジオで言われるがままにポーズをとった。加工の度合いを問われたが、実物と違いすぎるとがっかりされてしまうかもと考え、肌だけ補正してくださいと伝えた。実際の写真はかなり盛れており、自分の雰囲気とかけ離れているように感じたので、友人が撮ってくれた普段の画像も載せてもらった。
お相手の最低条件を決める
お相手の条件を絞ることは婚活においてかなり重要なポイントだという。何万人という人がいるのだから、ここをはっきりさせておかなければ決断ができなくなってしまうというわけだ。
恋愛経験のない私は当然困ったわけだが、ここで頼りにしたのが先ほど言及した自分自身の「スペック」だ。「スペックが似ている=価値観が近い」と考え、以下の条件を設定した。
30代まで
大卒以上
都心近郊の正社員
年収は同世代の平均額以上
身長172センチ以上
人間はスペックだけでは判断できないと思っているのだから、自分の求める人物像というものも考えてみたが、これも問題だった。経験がないためどんな人となら関係を築けるのか想像できない。それならばと、嫌だと感じることから逆説的に導いてみた。
食事などのマナーがしっかりしている
ポジティブ思考で、外交的なこと
こちらで伝えたところ仲人さんから特に指摘はされなかった。おそらく婚活市場においてこの条件を兼ね備えた男性は人気会員のはず。しかし後から条件を下げることはできるのだし、とりあえずこの高望みコースで始めることにした。
婚活を文章として記録する
さっそくお見合いが始まっていくのだが、それは次回以降からまとめていく。婚活が終わっていない状態で文章化を始めたのは、客観的視点を得るため。
アセクシュアルで婚活をしている人を見たことがなく、マイノリティ側の立場として発信することに多少の意味はあるだろうとも思っている。
結婚したい気持ちはあるが、もしできなくても受け入れるつもりだ。顛末は今のところ全くわからない。
どちらの結果になるにせよ笑って振り返れるように、備忘録として記していくと決意表明をして、初回はこれで締めることにする。