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伊勢滞在記-02 / 庭園美術家 長崎剛志 / N-tree

いしころ

石ころを手にした時に導かれるメメント、その感触も石は持っている。

宇治山田駅前 伊勢豊受稲荷神社の石垣
境界でもある石塀からひょこひょこ飛び出す石は、街との間を緩やかにつなげる役目。


2023/ 1.10 外宮から内宮までを歩く

金刀比羅神社・神落萱神社の磐座石
なだらかな三つコブをもつ立石
特別に祀られた石を眺めていると一体どのくらい地面に埋まっているのか妄想する癖がついている。
何か絵が彫られている気がするので、続きを自分で考えるのが楽しい。
神宮美術館脇と倭姫宮の石積
石積において石と石が合う時の力強さが目地に現れ全体(重力)のエネルギーに影響する。
石積みの終わりは逃げ道がなく重力のおさまりが難しいが、四つの石が卍に絡まることで終わりを生む。
月讀宮 左・倭姫宮 右
倭姫宮の岩石風景

この写真の石の役割を見てみると実用性と景観力に満ちている。地形の段差を解消するための土留め石垣、歩行しやすい細かい砂利と水路との境に縁取られた小石による参道、その間を埋める玉石による水路、水路をわたるために架けられた大判の石橋、角に立つ石橋を挟み込む橋添石。全てが石という素材で作られ調和を生み出していることに気がつく。比較的新しいとされる倭姫宮であるが、石を生かした素晴らしいシーンが多い。

白い鳥居の上田人神
石神様仏教庭園の枯山水における石組は山の見立て
一個の石は一山
祭壇前石段脇の玉石
お白石は米粒の比喩と思って見ている。
五十鈴川の水力を調整するためにコントロールされた人の手による並べられた石と空の美しい風景
石は雲の見立て
皇大神宮の神苑
神苑の石組

伊勢を訪れる前、内宮の神苑が「神社の庭」なのかと考えていた。実際、神苑に立った時、庭としての空間ではあったが「神社の庭」という感覚には、しっくりこなかった。その違いは、人と自然との共同作業の割合が大きく左右している。


内宮 火除橋あたりの目と口のある角石
籾種石
白蛇石

内宮の籾種石や外宮の亀石、猿田彦神社の白蛇石など石を生き物に見立てています。自分はパレイドリア現象で石と目が合い、相手の目のようなものを探してしまうので、よく生き物に見てしまいます。庭作りで石組みをするときは、逆に生き物のように扱ってしまいます。石には人間がつくる抽象の形以上に、抽象性が備わっているのでしょう。

伊勢滞在記-03 につづく


Takeshi Nagasaki

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長崎 剛志(Nagasaki Takeshi) 庭園美術家

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【滞在期間】2023年1月5日〜12日

※この記事は、「伊勢市クリエイターズ・ワーケーション」にご参加いただいたクリエイターご自身による伊勢滞在記です。
伊勢での滞在を終え、滞在記をお寄せいただき次第、順次https://note.com/ise_cw2020に記事として掲載していきます。(事務局)