< 伊勢日記 / 後編 > 横山 麻衣(Yokoyama Mai)
3月5日
今日は早朝から外宮に行ってみる。まだ春先の冷たい空気が静けさに満ちていて、昨日の内宮とはまるで対照的な空間だった。一息つく。そして正宮の横にある、今は小さなお社だけが立つ新御敷地にそびえる杉の大きさに目が入った。根元が少し斜めになっていて、黒っぽい皮がねじれるように揃っている。人々が触る根元は皮が剥げて赤くなっていた。いったい何百年ここにあるんだろうか。昨日の内宮でのお伊勢参りでは“お参り”という行為にばかり気が向いてしまい、自然にはあまり意識が向かなかったが、今日