☆祝☆『Orange』10周年!ClariSが初めて顔出しをした伝説の夜を振り返る
みなさまこんばんは。伊勢です。
2024年6月4日はClariS 3rdアルバム『PARTY TIME』が発売されて10周年目とのことです。
は!?
えっ10年??うそでしょ。
2024年6月は「ClariS SPRING TOUR 2024 ~Tinctura~」が終わった直後。ライブの余韻に浸っていた私の脳みそは、先の情報によって大きく揺さぶられました。
10年という時間の流れへの焦燥感を味わいつつ、思い至ったのは次のこと。
『PARTY TIME』が10年ということは、あの曲も世に生み出されて10年が経つのだ。
そう『Orange』である。
『PARTY TIME』の最後を飾るこの曲はClariSファンにとっては大きな意味を持つ。
1つはアリスとの別れの曲であるということ。
この意味については自分じゃない誰かが必ず解説してくれると思ったので、スルーします。
ちょうどよく、るなる~なさんが記事をあげていました。いつも拝読しています。ありがとうございます。
しかし、私にとっての『Orange』はもう1つの側面の方が比重が大きい。
顔出しという新たなステップを踏んだ曲であること、である。
『Orange』はClariSが初めて顔出しをしたコンサート「ClariS 2nd HALL CONCERT in パシフィコ横浜国立大ホール 〜さよならの先へ...はじまりのメロディ〜」の最後を飾った曲なのだ。
別れのイメージが大きい曲であるが、私にとっては暖かい希望に満ち溢れた曲である。
今回の記事は『PARTY TIME』と『Orange』10周年を記念し、あの伝説の夜「ClariS 2nd HALL CONCERT in パシフィコ横浜国立大ホール 〜さよならの先へ...はじまりのメロディ〜」について振り返って行くこととする。
以前作成した上記の記事のような趣である。
内容については、当時の私が残したライブメモ、「リスアニ!」、下記のライブレポートをもとに作成しました。
特にコンサートのストーリーは全然覚えていなかったので、かなり参考にしています。ご了承ください。
では本編に入ります。
はじめに
まずはコンサートの概要から。この時ClariSはデビュー7年目。ライブ活動も始まって2年長が経とうとしてました。
タイトル:「ClariS 2nd HALL CONCERT in パシフィコ横浜国立大ホール 〜さよならの先へ...はじまりのメロディ〜」
日時:2017年9月16日
会場:パシフィコ横浜 国立大ホール
キャパシティ:5000超
当日の天候:雨
前回のライブ:「ClariS 1st 武道館コンサート 〜2つの仮面と失われた太陽〜」
次回のライブ:「C3AFA Singapore 2017」(国内だと「ClariS 3rd HALL CONCERT in 舞浜アンフィシアター ♪over the rainbow 〜虹の彼方に〜♬」)
会場はパシフィコ横浜の国立大ホール。
当時はかなり馴染みの深い会場でしたが、2024年現在では行ったことのないファンも多いのでは?
横浜みなとみらいのホールで、みなとみらい駅の通路から直結となっています。
撮影した会場の写真をいくつか載せておきます。
当日の会場限定の商品は以下の通り。クッション、アクリルキーホルダー、缶バッジでした。
面白いのがスクエアクッション。『ヒトリゴト』イラストは最高に可愛いですね。実はこのクッションは圧縮袋に入れられて売られていたため、開封前は下記の姿でした。
私は基本的にグッズを開封しない主義のため、我が家のクッションは7年間くらい圧縮されたままである()
グッズはこちら。船と碇がモチーフなのが多いです。ブレスレットはオタクグッズ感がなく、さりげなく日常でも使えるので愛用していました。(数年前にちぎれてしまいましたが。)
そして注目すべきは「オペラグラス」というアイテム。性能はあまりよくなかったですが、いわゆる双眼鏡でした。このアイテムの存在が大きな伏線でしたので覚えておいてください。
コンサートの事前情報
事前情報として特筆すべきは以下の2点。
ひとつ目は2017年2月の日本武道館公演の次のライブであるということ。
ふたつ目は意味深なコンサートタイトルである。
まず武道館公演『ClariS 1st 武道館コンサート 〜2つの仮面と失われた太陽〜』はもはや語るまでもない。みんなもBlu-rayを買ってその結末を目に焼き付けよう!
そのBlu-rayには収録されていないのだが、本編のラストにクララとカレンが客席に背中を向けて仮面を外し、スモークの中で一瞬だけ振り返って去るという演出があった。
ただのサプライズとも思える演出だが、その意味は今回の公演の布石と思われていた。
そしてコンサートタイトルは「さよならの先へ...はじまりのメロディ」
意味深である。非常に意味深である。
武道館の「2つの仮面と失われた太陽」も非常に示唆的であったが、それに劣らないタイトルである。
このタイトルを見て、開演前のファンの脳裏をよぎっていた可能性は2つ。
・顔出し
・ClariSの活動終了
天国か地獄かの2択であった。開演前の筆者は非常に胃が痛かった。
天国と言ったが、当時は顔出しも肯定的な意見ばかりではなかったと思う。
顔出しNGと仮面がClariSのアイデンティティであったことは間違いないため、それを重視する意見も見られた。
もちろんであるが活動終了を真面目に信じている人はいなかった。 しかし、その可能性を一度考えてしまったら最後、常に頭に残り続けた。
公演前の私は楽しさよりも不安の方が大きかった。武道館もアリスが復活するかどうかでヤキモキさせられて胃が痛かったが、今回も胃は荒れた。
加えて今回のコンサートイラストは下の画像であった。
オーバーオール衣装が可愛らしいが、注目すべきはそのシチュエーションだ。背景には帆船が描かれており、クララとカレンが今まさに新しい島に上陸したかのような状況が読み取れる。
「はじまりのメロディ」の名に相応しい、新しい展開を予感させるイラストである。ここからもClariSがコンサートで何かを仕掛けてくることが読み取れたため、私は戦々恐々としていた。
ここで当時の私のスタンスを予め述べておくが、顔出しには若干否定派であった。
無論顔を見れたたら嬉しいが、顔で好きになったのではないという謎のプライドを持っていたからだ。否定と肯定が混ざり合い、心の中は雑然としていた。
コンサート開始
多くのファンの期待と不安がごちゃ混ぜになる中、コンサートは開始された。
今回もストーリー性が重視され、引き続きClariS城の物語が進行する。
※クラルス島=ClaruS島。ラテン語ではっきりとした、澄んだという意。
※ストーリー・演出はクララとカレンがみずから考案したもの。ふたりの心情が物語と楽曲によって表現されていく。
『ヒトリゴト』
一曲目からフルスピードであった。
この曲は初披露。当時の人気を見ても盛り上がらない訳がなかった。
ちなみにKUMAさんとバックダンサーのメイドさんありです。
『nexus』
『nexus』は当時から現在までかなり人気の曲であったが、ライブにおいては衣装替えのタイミングで用いられることが多く、生歌は少なかった。
それが生歌なんだから全オタクは好きだよね。
『プロミス』
本公演は全てに必ず意味があると思わざる負えない選曲をしている。
一見繋がりのなさそうなこの曲も、歌詞を考えて選ばれたことが読み取れる。
『Collage』
私的にかなり印象に残っている曲である。演出が素晴らしかった。
バックスクリーンにペガサスの馬車が登場し、今までのライブの写真が次々に映し出されていく。思い出が浮かぶ夜空を、ペガサスが駆けて行った。
ライブ活動が始まって2年、公演に参加するたびにドキドキしていた記憶がコラージュされ、歴史の積み重ねを実感していた。
そしてこの演出は、終わりが控えていることを示唆し、一抹の寂しさも味わっていた。
『border -remix-』
衣装替えソング。
KUMAさんと仮面を付けたメイドさんがステージに残り、華麗なダンスでお嬢様たちをサポートしてくれました。
『Drawing』
私が内容に触れるのが陳腐に思えてきた。歌で表現をするのが歌手というアーティスト。クララとカレンの想いは歌詞と歌声から充分に読み取れる。
この曲はこの公演でしか披露されていない。14年のClariSの中でたった1回だけの貴重な時間であった。
『Tik Tak』『ホログラム』
徹底的に「終わり」と「始まり」の感情をファンに植え付けてくる。
『CLICK』
この曲のタイトルの意は解釈が分かれるだろうが、私は鍵を開ける時の音であると読み取っている。それ故セットリストに採用されたのだと。
ライブで非常に盛り上がる曲ではあるが、それだけではなく上記の意味合いもさりげなく潜ませるのがClariSクオリティである。
『blossom』『again』
すでに寂寥感を多く漂わせているが、ここで閑話休題。
ClariSと共に楽しくペンライトを振ることで、この瞬間だけは寂しさを忘れることができた。
『SECRET』
気持ちを上手く伝えられないことに悩むラブソングであるが、今日このタイミングにおいては別の意味に感じ取ることができる。
クララとカレンが私たちに一歩踏み出そうとしてくれている、そう思ってしまうのは烏滸がましいだろうか。
カレンソロ『42nd STREET』
2024年現在では定番ですが、クララとカレンのソロコーナーが始まったのはこの公演が最初。
カレンは先の赤いドレスのまま、黒い上着を羽織ってミュージカル映画『42nd STREET』のメインテーマをタップダンスで踊った。
カレンはこの年の4月から練習していたとのこと。
KUMAさんもタップシューズを履き、カレンとセッション。
カレンの笑顔は私の胃にひとまずの安心感を与えてくれた。
クララソロ『君の夢を見よう』
次に現れたのは紫のドレスを纏ったクララ。先のカレンソロとは違い、神妙な雰囲気が会場を覆う。
そしてアカペラから歌い上げられた『君の夢を見よう』
アリス⭐︎クララの曲が歌われるのは武道館の『DROP』以来であった。
私はこの演出を最後の禊だと解釈した。クララとカレンが大きな一歩を踏み込むための最後の1ピース。もういない“彼女”と、そんな“彼女“を今でも愛すファンに「もう……良いよね……?」と優しく語りかけるかのようであった。
クララのドレスがピンクとブルーを混ぜた紫色であったことも示唆的だったと思う。
私は固唾を飲んで見守っていた。クララとカレンが行おうとしていることが何であるかをこの時理解した。そしてふたりの丁寧な愛に胸を打たれた。“それ”を行うためにこんなに丁寧な演出と導線を引いてくれている。ふたりの決断をファンが納得するように、納得できるように歌を以て想いを届けようとする。その真摯さと健気さを目一杯受け取ることができた。
『Clear Sky』
先のクララソロの次の曲は、この曲しかあり得ない。
“彼女”に馳せる想いを優しく包むカレンの歌声。そうだ、私たちにはカレンがいる。もう寂しくなんてないと思わせるだけの力があった。
『reunion』
上記の歌詞と共に、バックスクリーンに花開く蕾が映る。
小さな存在であったクララとカレンは立派に咲き誇った。
ふたりにはベールの帽子がKUMAさんから授けられた。
KUMAさんは元々ClaruS島の大きな神木であり、ClariS城で私達を育てるためにうさぎの姿になっていた。
『泣かないよ』
神木に戻ってしまったKUMAさんを想う一曲。もちろんストーリー上のKUMAさんだけではなく、クララとカレンを見守ってきた我々にも向けた曲であると思う。
この曲もこの公演きりの歌唱であった。
『YUMENOKI』
クララとカレンにとって、KUMAさんが如何に大きな存在かがわかる選曲である。
KUMAさんの支えをもとに、クララとカレンは新たな決意を固める。
『サヨナラは言わない』
仮面との決別の儀であった。
曲の終わるとふたりは背中を向けて、マスクを外し、煙と共に姿を消した。
ここまで完璧なセットリストである。改めてこのストーリーを考案したクラとカレンに感謝を送りたい。
ステージの階段が左右に割れる。
その奥から手をつないだふたりが登場した。
「みんなー! 会いたかったよー!」
スモークと照明の逆光によって最初はシルエットしか見えない。
しかし、会場の大きなどよめきは 「その可能性」 を示していた。
『Prism』
Aメロも歌い上げつつパフォーマンスに入る。
徐々にスモークは薄まり、光も弱まっていく。
自分も「その可能性」 を感じ取っていた。 まさか本当に、本当にそんなことが起きるなんて。
今日は伝説の夜だ。素顔ままで逢うことができた最高の夜だ。
私はオペラグラスを構えた。このアイテムはこの瞬間のためにあったのか。
さて私は顔出しについて若干否定派であると最初に述べたと思う。
そんな私がクララとカレンの初めて見たときにどう思ったか。
「※△$♪×¥●&%#?」
声にならない悲鳴だった。 心臓がバクバクしていた。
否定とか肯定とかはもうどうでもよかった。
公演前にはあれだけ心配していたのにすべて吹っ飛んでいた。
まったく現金なファンである(呆れ)
晴れやかな気持ちであった。
この瞬間に立ち会えて幸せであった。
そしてこのタイミングに『Prism』を選択したクララとカレンには頭が上がらない。本来はリトルツインスターズ(キキとララ)とのコラボ曲であったはずだ。しかし、その歌詞は今日この瞬間、この一瞬のためだけに用意されていたかのようであった。
重永さん本当にありがとう。
『カイト』
クララとカレンはペンライトを青にするように指示する。
会場は一面の大海原となった。
本公演のイメージイラストはこの曲がモチーフであったのだ。
帆を広げた船はどこまでも進む。どんな困難もふたりなら絶対に大丈夫だろう。根拠はないが、幸せな自信に満ちていた。
最後、ふたりがスクリーンに投影された鳥かごから解き放たれる演出が行われた。鳥かごから幸せの青い鳥を逃がすのは、ひとえに愛ゆえである。ClariSもファンも、愛ゆえに決断してはじまりのメロディを踏み始めた。
この『Prism』と『カイト』の流れは本当に素晴らしい。顔出しの晴れやかさ、解放感。コンサート中盤までずーっとハラハラして観ていたからこそのその圧倒的なカタルシスであった。
『カラフル』『コネクト』
結局のところ顔出ししてClariSは変わったのだろうか。
アイデンティティを喪ったのだろうか。
それは否である。ClariSは何も変わってない。いつも通り歌い上げられた『カラフル』と『コネクト』でそれを実感した。
顔出しNGという外的要因ではなく、歌声とパーソナリティという内面が一番のアイデンティティである。余りにも当たり前の事実であるが、改めてそれを学ぶことができた。変わることは怖かったが、その不安は見事に打ち消された。
私の顔出しへの悩みはいとも簡単に霧散した。
アンコール『SHIORI』
顔出しと『Orange』の衝撃に話題を奪われているが、当時最新曲であった『SHIORI』もClariSの想いを代弁した非常に重要な曲ではないだろうか。
ストーリー上において「本」がたびたび登場していることからも、それが明らかであると思う。
栞が挟まれる本は、ClariSの軌跡が纏められたもの。曲中の未来の彼女たちはその本を懐かしく読み返していた。喜びも、楽しさも、別れの悲しさをも乗り越え成長したふたりの、7年間の軌跡。
未来の彼女は7年目まで読んで一旦栞を挟んだ。顔出しをした7年目。ClariSの歴史のターニングポイントとなった7年目。未来の彼女にとってこの年は忘れられない1年であり、思い出して微笑んでいることだろう。
過去と現在と未来のすべてを包括するこの曲は、この公演のエンディングを飾るのにふさわしかった。
『Orange』
そして真のエンディングである。
選ばれた曲が『Orange』
『PARTY TIME』の最終曲であり、同時にアリスの最後の歌である。
初披露であるが、かなり意外な選曲であった。アリスへの哀しき別れの歌というイメージが強い曲であったからだ。
その呪いの重さにより、2024年現在であっても真正面から相対して向き合うことが難しい曲である。
しかしこの公演の『Orange』は違った。
クララとカレンの指示により、会場はオレンジに染まった。
曲中のオレンジ色は、本来は夕焼けの色。太陽が沈む、最後の輝き。
だが今日のオレンジ色は暖かさと幸福感に満たされていた。夕焼けの寂しさではない。ClariSからの愛と希望に満ち溢れた夜明けのオレンジ色であった。
みな泣いていた。みな笑顔であった。
この光景を私は生涯忘れることはないのだろう。
人生最後の走馬灯には、このオレンジ色をもう一度観たい。
さよならの先と、はじまりのメロディを同時に体現する曲であった。
先の『Prism』もそうだが、ClariSは曲に新たな物語を付与するのが非常にうまい。
私も『Orange』の哀しさのイメージが塗り替えられてしまった。
他の曲にも、その曲の主題とは異なるClariSの物語を纏っているものが多い。
物語が入ることでその曲の魅力は何倍にも膨れ上がる。しかし物語は付与しようと思って付与できるものではない。それを可能にしているのはひとえにクララとカレンの世界観の作り込みによるものである。
ライブ活動を開始してからコンサートと共にふたりも成長し、物語を提供して沢山の価値が生まれた。その集大成がこの『Orange』であったと思う。
最後に、こちらのイラストを紹介する。オレンジの光景を素晴らしく再現してくださっているイラストだ。
この絵があればいつでも脳内再現ができる。こちらの絵師さんのフォローといいねをよろしくお願いします。
おわりに
ClariS がライブ活動を始めてこの顔出しに至るまでの道筋は非常に美しい。 ファンへの配慮と丁寧さにあふれている。
まず1stライブでは大きなベールと紗幕がかかっていた。
ClariS がファンと大切にしていた距離感を侵さないように配慮を重ねた結果のライブスタイルであったと思う。
そして1st パシ横公演では仮面をつけて紗幕を下ろした。
ライブ活動を始めて1年以上経てからの突然の急加速。こんなに近くていいのか、と我々をドキドキさせた。 これによって神聖不可侵であったクララとカレンがぎゅっと身近になった。
また、この時期には写真集も出ていた。
顔出しへの種まきは丁寧に行われていたと思う。
そして武道館ライブ。
それを経たこの公演。
まさにベストタイミングの顔出しであった。
時間をかけたが、時間をかけたからこその納得できる顔出しであった。この流れがどこかで違っていたらこの結末にはならなかっただろう。武道館でもない、今日この公演であったからこその顔出しであった。
しっかり手順を踏み、ファンに納得の空気感を作らせたからこそ受け止められた顔出しであっただろう。
そしてこんな体験をしてしまったからこそ、もう私はファンを辞められないと思っている。私はClariSの歌声だけが好きなのではなく、今まで観てきたクララとカレンの物語をひっくるめて好きなのだ。
先に述べた曲に物語を付与するという手法は、まさに彼女たち自身にも大きな物語を与えている。
クララとカレンによってまた新しく創られるナラティブが楽しみである。
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