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学習指導要領|「日本の学校に通う子」の指針|こどものにほんご(23) 



「生きる力」学びの、その先へ

学習指導要領とは

全国どこの学校でも一定の教育水準が保てるよう、文部科学省が定めている教育課程(カリキュラム)の基準です。10年に一度改訂され、これを基に
子どもたちの教科書時間割が作られます。

文部科学省

つまり、採択されている教科書を使用すれば
その学年で学ぶべき内容が網羅されているということで
義務教育の教科書が無償であるのも、この考えに則っているのでしょう。

学習指導要領には、発達段階に合わせて
「これが出来たら良いですね」という目標があります。
日本の学校教育を受けた人ならば
1年生の時に「せんせい、あのね」と日記を書いたり
3年生の理科で校庭に立てた棒の影の動きを観察したり
5年生の社会科でお米農家さんに関する学習をしたり

すべての教育活動は各学年の目標があり、そこに近づけるために
先生たちは授業案を考えていたことが、なんとなく理解出来るのでは
ないでしょうか。

低学年から高学年にかけて6年間で子どもたちはこれだけの事が
要求されているのか
…と驚きますが、それだけ期待されている
ということでもあります。

こどもの日本語教育に興味がある方は、国語の目標だけでも一読される
ことをおすすめします。




「生きる力」のその先 とは


「生きる力」とは、学んだことを実生活で生かす。
「生きる力」のその先、とは 
 学校生活で学んだことを実生活で生かせるような教育活動を
 学校は今まで以上に展開する。

と私は解釈しています。違っていたらすみません。

 ずっと学習指導要領が大事とうったえている私ですが、
 教員採用試験の時に
 「なんでこんなの覚えなくちゃならないんだろう。」と思い
 その後は実のところそんなに意識していませんでした。


年間の学習内容が決まっている学校教育


担任だったとき

学級担任は、学習目標に向かって子どもたちをどう導くか
そこに重点を置いています。
そのために教科書や各学校が作成する学習指導要領に沿った教材を
子どもの実態に合わせてどのように進めていくのか
教科書会社が公開している年間指導計画には
いつ頃、その単元に取り組むのかということも提示してあります。

先輩がおっしゃっていたことですが
成長著しい子どもが、6年生になりたてで「海の命」(立松和平 著)
を学習するのと
卒業間近に学習するのとでは理解の深まりに大きな違いがある、と
いうこと

近年変化しつつありますが、日本は四季に恵まれた国であるので
その季節に合せて教材が選ばれている、ということが大きく関わって
いると思います。

それは、学習指導要領に則り1年生(幼稚園)から発達段階に合わせて
積み重ねてきた素地があるから可能なことで、どの子も同じ水準の
教育を平等に受けられる素晴らしいシステムであるのですが

逆に言うと、途中から日本の学校に入った子どもは苦戦を強いられます。
他の国でも日本から行った子は同じように苦戦しているかも知れません。



日本語指導員になってから 児童のニーズに合わせる


教材がないない言い続けていますが、まったくないわけではないのです。
日本語学習を要する児童の実態に合う教材が見つからないのです。

日本語指導員になり、試行錯誤を繰り返す中
学級担任の時とは異なる視点で教材研究をするようになりました。

日本語指導を要する児童のニーズとは?
    ⇒ 安心して学校生活を送ること そのために

学習に参加できるようになるための支援をする
②教科書主体で、学習言語能力を高める授業をする
 (教科書には、日本語学習のヒントがたくさんある)
③特別支援の考えと同じく、個にあわせた教材が必要
困りごと疑問を日本語の授業でとりあげる時間をもつ
参加したい授業にする
⑥母文化保持(母語を話さないよう保護者に言われる子もいる)

児童のニーズに合わせるということは、「安心して学校生活を送れる」よう支援するということなので「授業参加できるくらいの日本語と学習」に焦点を当てることにしました。


児童が興味をもっていることに教材を寄せ調整する


1~6年生の担任を2週以上経験していたので
各教科でどのような学習をするのか何年生で何を習うのか
大まかな小学校課程の全体像が私には見えていました。
それを活用した授業を考えることにしました。

たとえば
生き物の赤ちゃんの成長ぶりを知る説明文を読むには
月日の経過それを表す日本語を知る必要があります。
そこで、その児童が好きな「花」が咲く時期を示した
お花カレンダーを作成し、四季や日付の学習をしました。
そのお花は6年間で習う教材から探し国語教材や理科で
登場するもの
を選びました。
ちょっと先の学習を事前に知ると張り切る児童が多いので
この時、「〇年生で習うよ」と教えておくと一種の先取り
になります。

百均で同じお花の造花を見つけて持参し、写真と造花で見た
花の茎の長さ・色・咲く季節期間などをプリントに書いた
最終的には玩具のお金を使ってお花屋さんごっこをしたりしました。
「よむ」「かく」「きく」「はなす」の活動が入っています。

私の拡大解釈かもしれない上に
何で読んだか失念してしまったのですが
日本語教育能力検定試験のためのテキストに
「インクルージョン教育」のことが書かれていて
「日本語の波に飲み込まれたような状態で溺れながら
 習得していく」と書かれていた記憶があります。

でも、誰のせいでもなく(少なくとも先生のせいではなく)
実情はそんな感じなので、少しでも興味をもっていることで
楽しく日本語に触れられる時間がもてたら良いだろうなという
気持ちで常に私なりのスキャフォールディングを探していました。


子どもの興味を刺激するような にほんご授業を”

そう考えると、学習指導要領を知っておくことは
児童に関わる日本語指導員にこそ大切なことなのでは
ないかと思います。


日本人の理想的な人間像


知・徳・体を重んじてきた日本人の望ましい姿を
連想させる学習指導要領。
自分を磨き、周囲と調和し、居場所を見つけて生きていく。

日本が好きで、先人が大切にしてきたものを大切にしたいと
思っている私にとって学習指導要領を重んじることは
吝かではありません。

ただ、最近思うところがあります。

いつか機会があったら綴りたいと思います。


保護者向けリーフレット(抜粋)

リーフレット小学校保護者の方へ 抜粋(文部科学省)
リーフレット小学校保護者の方へ 抜粋(文部科学省)


リーフレット小学校保護者の方へ 抜粋(文部科学省)


リーフレットなど、まとめて閲覧することが出来ます。





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