子商塾の開催 in Pizzeria Ocean
子商塾の開催
子商塾のワークショップを開催しました。子どもたちが考えたレシピをウィリアムズジェラートで製造し、それをピッツェリアオーシャンで販売しました。子どもたちに商売を体験してもらうことが目的です。
詳しい内容はこちらのページをご覧ください。
企画の思い
私がこのワークショップをやりたいと思ったのは、「仕事って楽しい!」「お金ってどうしたらもらえるの?」ということを、子ども自身が感じ、考える機会を作りたかったからです。
私の原体験としては、小学生のころ父親に「お小遣いが欲しい」と言ったら、お金をくれるかわりに、父親の友人の会社へ日雇い仕事に連れていかれたことがあります。植物の鉢をトラックに積み込む肉体作業で、午前中お手伝いをして、給料をもらいました。その時の嬉しかった気持ちは今でも覚えています。
仕事に触れる機会があると、社会人になることを前向きに考えられるようになるのではないかと思っています。
義務教育が始まる以前は、嫌でも家業の手伝いをしないといけない時代がありましたが、今は学校での勉強に集中し、一度も社会生活に触れる機会がないまま就職をする人もいます。
そこで今の社会で、実際の仕事に携わり、お金に触れる体験機会が求められていると思い、自分の店を使ってこのワークショップを開催しようと思いました。
ワークショップの内容
ワークショップの参加費は5000円で、3日間の参加が条件です。子どものワークショップにしては高額で、さらに3日間保護者も一緒に参加を求めることから、ハードル高めの設定かと思います。
「預けて任せる」というものではなく、家族も一緒に考えてもらう必要がある内容です。集まるか心配もありましたが、3組の企画趣旨に共感する家族が集まりました。参加者は中学1年生の子が2人、小学5年生が1人の計3名です。
プログラムは以下の通りです。
1日目:座学
2日目:座学の続き(Zoom)
3日目:商品開発(Zoom)
4日目:試食
5日目:販売日
座学は「お店を営むにはどんなことをやるの?」という疑問に答えていく形で進めました。ジェラートショップなら、はじめに何を作るのか、どんな食材を集めるのか、それはいくらかかるのか原価計算の練習をします。そして売上目標を立てて、いくらの粗利益を見込むのか、本格的な営業計画を作ります。
商品開発は、それぞれがイラストなどにしてアイデアを持ち寄り、最終的に「いちごsoy抹茶」に決まりました。いちごソルベに豆乳抹茶ジェラートを混ぜるという斬新なメニューで、自分では考えもしなかった一品ですが、美味しくできました。
そしてマーケティング戦略です。どうやって告知するか。3人が「メニュー作成」「看板作成」「宣伝動画作成」を役割分担して進めました。動画作成に名乗りを上げてくれたフウカさんは、趣味でやっているということで、短期間ながら「こんなことができるの!?」と驚くような魅力的な編集能力を見せてくれました。看板とメニューは、商品のタイトルから説明までを考えて、2人のセンスが光る、完成度の高いデザインに仕上げてくれました。
本番
最後の販売日はゴールデンウィークに行いました。ピッツェリアとしても年間で最も混み合う日で、子どもたちにとっても販売のしがいがあります。天気は晴天!まずは出店準備。
そしていよいよオープン。ところが、なかなか売れません。普通はみなさん、食後にデザートを食べるのだからそれはそうかもしれませんが、私は焦りました。「売れないのかな!?」
元々、11時から14時までの3時間を営業時間に設定していましたが、1日100食という目標に到達できなかったので、15時半頃まで延長販売をしてようやく達成できました。
お昼ご飯も食べずに仕事をして、みんなの顔はへとへとです。頭も働かない中で、最後に売上計算をしました。販売した数と、レジ金が合致しているかを数えて終了しました。いきなりハードな営業をして、子どもたちが「商いなんてもう嫌だ」と思わないか若干不安になりましたが、最後に提出してもらった感想文に私への恨み言はなかったのでほっとしました。商いは大変だということがよく伝わったみたいです(笑)。
「私は、今回のようにジェラートを売ってみて商売は難しいんだなと感じました。
接客をするときも、お客さんに失礼のないよう気をつけながら仕事をしないといけないし、お客さんに早くジェラートを届けるためにも効率を考えてやらないといけなかったり、たくさん気をつけないといけないことがあって仕事をすることは大変なんだなと思いました。
でも、友達が商品を買いに来てくれたり、ジェラートを食べて「おいしい!」と言ってくれる人がいて、すごく嬉しい気持ちになりました。なので、商売はそれがやりがいなんじゃないかなと思いました。
やっぱり、自分たちで一生懸命考えたものを褒めてもらえるとモチベーションも上がるし、仕事をすることが楽しくなったので、そういうお客さんの存在が大切だということに気づきました。
『仕事をすること』を体験してみて、いろんなことがわかったので、もっと仕事やバイトをちゃんとやってみたいなと思いました。大変だったけど楽しかったです!!
いろいろサポートしてくださって本当にありがとうございました!!」
byりこさん
「私は、子商塾で実践するまでの計画を立てたり、値段を考えたりすることも含めて働いてお金を稼ぐことがとても大変だとわかったので、これを機に、これからの生活に活かしていけたらなと思いました」
byいとこさん
ワークショップを通じて感じたこと
今回のワークショップを通じて、改めて子どもたちが持つ可能性とその純粋なエネルギーに感動しました。彼らは、想像以上の努力と工夫を凝らし、自分たちのアイデアを形にしました。そして、実際に商品を販売し、お客さんと接することで、商売の楽しさと難しさを体感してくれました。
子どもたちに商いで学んでほしいことを伝える中で、私自身も多くの気づきを得ました。値段、商品開発、名前など、誰が決めるのかが明確になっていないと、みんなそれより先に考えが進まなくなります。「自分たちが何を決めないといけないのか」を明確にして、それを「どうやって決めるのか」をセットにしておかないと、いつまで経っても決まりません。それは進行役を務める私の仕事であり、会社内では社長である私がもっと意識していかなければならないことだと感じました。
チームで動くための役割分担は次回の課題として、今回のワークショップが、子どもたちの未来に向けた一歩となり、将来の仕事や生活に生かされることを願っています。参加してくれた子どもたち、そしてご家族の皆さん、本当にありがとうございました。また次回も、さらに楽しく充実したワークショップを開催できるよう、頑張ります!
今後も、子どもたちが自分の力で未来を切り開くためのサポートを続けていきたいと思います。引き続き、子商塾の活動にご期待ください。