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無くなる部活動の備え〜子どもの体験機会を守る〜
部活動が無くなることをみんな知らない
杉並区における部活動の地域移行についての視察を行いました。杉並区が取り組んでいる具体的な事例を紹介します。その内容から、西尾市でも活かせるヒントを考えたいと思います。
西尾市では、小学校の部活動は令和8年に無くなります(幡豆・吉良・一色ではそもそも小学校の部活動は行われていない)。中学校は段階的に減らしていく計画です。その後、地域部活動として機能していくことになっています。
そこで問題は、地域住民から指導員を募るわけですが、誰がやってくれるのか?という話しです。ボランティアでやってくれる人も中にはいるのでしょうけど、それだけでは継続不可能なので、プロの指導員が必要になります。当然、報酬が必要で、その取り決めが今議論されているところです。
もう1つの問題は、もはや各学校に例えばサッカー部とかはおけない、という状況になります。各学校に指導員を配置したらとんでもない指導員数で経費も嵩んでしまうので、エリア制になっていくのではないでしょうか。西尾中・鶴城中・福地中を合わせてハンドボールクラブを作るとか、平坂中・寺津中で合わせてバスケットボールクラブを作るとか、そういったイメージです。
色んな形がこれから考えられていくのでしょうけど、問題は、まだ多くの保護者が「部活動が無くなる」ことをちゃんと知っていない、という点にもあると僕は思います。行政や学校任せにするだけでなく、僕も2人娘の父として、子どもにどんな体験機会を作っていくのか、積極的に関わっていくことも大事だと思います。
そこを杉並区はどのように進めているのか。
指導員の報酬
杉並区では、部活動の地域移行を進めるために3つの主要な部活動支援策を導入しています。まず、3つの指導員のガイドラインを定めています。外部指導員は、ボランティアが部活動の技術指導を補助しています。ボランティアには特別な資格は不要で、謝礼として1日2200円が支払われています。この制度は23の中学校で年間410回利用されています。
2つめに、コーチ(部活動活性化事業)は、技術指導を民間事業者やNPOに委託しています。この制度は平成25年度から実施されており、1時間5000円の単価で指導を行います。
3つめに、部活動指導員制度では、会計年度任用職員として雇用され、顧問業務や実技指導、大会運営、審判など全てを担当します。現在、13名の指導員が活動しており、時給は2342円です。
地域クラブ活動への移行モデル事業
杉並区では、令和4年から高円寺学園を中心に部活動の95%程度を民間事業者に委託しています。これは、地域クラブ活動への移行を視野に入れたモデル事業です。具体的には、軟式野球、バスケットボール、ソフトテニス、バドミントン、サッカーなどの運動部活動を民間事業者に委託し、教員はトラブル時の生徒指導や団体間のやり取りなどに関与しています。
また、富士見丘中学校では、ボッチャやモルックなど、スポーツを楽しむことを目的としてマルチスポーツクラブを実施しています。
さらに、吹奏楽ワークショップでは、各中学校の吹奏楽部に所属する生徒がプロの指導を受け、地域の音楽祭に参加するなど、多様な取り組みが行われています。
未来の部活動は指導員しだい
視察の中で杉並区が直面している課題も見えてきました。地域交流スペースでのコミュニケーションや、地域移行の受け皿となるスポーツ団体の少なさが課題として挙げられます。現行の週4日の部活動や大会引率をそのまま引き受ける地域はほとんどなく、指導者の質と量の確保も難しい状況です。
また、地域移行に対する地域住民の意見も重要なポイントです。中学校のPTA協議会を通じて実施したアンケートでは、保護者から現状維持を望む声が40%あることが分かりました。それはそうだと思います。部活の地域移行はどんな形になるのか、どこの自治体行政も教育委員会もまだ手探り段階で、より良い環境に変わるならともかく具体像がわからないのに、賛成の声をあげられるはずもないです。
杉並区の取り組みと課題を学び、西尾市でも同様に部活動の地域移行を進めるための方策を具体的にしていきたいと思います。特に、地域連携や民間事業者との協力が鍵となることが分かりました。今後、西尾市でも地域のスポーツ団体等と連携したクラブ活動や、マルチスポーツクラブなど、多様な取り組みを考えていく必要があります。子どもたちがスポーツに触れやすくなるように、体験機会を損なうことがないように、目指していくんだ、という気持ちで行政と教育委員会が進めてくれるよう、議会としてプッシュしていくべきことです。
以上、皆様からのご意見やご提案をお待ちしております。今後も、皆さんと一緒により良い地域づくりに取り組んでいけますように。