【編集後記】函館地域承継ストーリー#5
ネギでも涙が出ることを初めて知った。
インタビューの後、T.Sさんが畑を案内してくれた。ナスやネギなどが美味しそうに実っている。
「ナスは、強い植物なので畑を休ませるんですよ。」
たくさん栄養を吸うナスは、収穫後、畑を休ませるらしい。1年ごとに育てる場所を変え、畑を次に使うのは4年後だそうだ。
オリンピックイヤーにしか使わない畑。まるでこち亀の日暮巡査。と有名マンガのキャラクターを想像してしまった。
行ってみるとなるほど、休ませている畑にはチラホラ草のようなものも見える。使用したばかりの畑にはそういったものが一切ない。草が生えないほど、ナスが栄養を吸ってしまったらしい。
おそるべしナス。畑さん四年後の活躍、期待しています。
「次は…」と、ネギの加工場を見せてもらった。
加工場はネギの皮を剥ぎ、出荷できるきれいな状態にする場所だ。
「作業をすると涙が止まらなくなるんですよ。」
たしかにこの時も、ツーンとする感覚が鼻の奥にある。涙の一歩手前。ネギで涙がでるなんて知らなかった...。
「ナスもネギも大変ですね。」と声をかけると「土いじり、好きだから」とはにかみながら答えてくれた。
知らないことばかりの農家見学。美味しい野菜のためのノウハウと苦労も未来に残るんだなぁと感慨深いものになった。
取材・執筆担当 豊島翔