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「ニューロマンサー」ドラマシリーズでアーミテジ役がマーク・ストロングだと?

クソっ!分かってるじゃないか…制作陣…

私は特定に作品に思い入れが少ないほうなのだが「ニューロマンサー」については気持ち悪いくらいのファンなので色々語りたいことが常にある。今回のこのニュースにはショックを受けたが誰にも語ることができないので、ここに書いておく。

ニューロマンサー物理本コレクション6冊
日本語版(新旧)・英語版(新旧)中国語版
一番上のやつが最初に読んだ版

誰もが知るサイバーパンクの聖典「ニューロマンサー」が生れ落ちて40年。
その映像化の話は浮かんでは消え、浮かんでは消え。聖典のファンの想いは代替品のマトリックスやJMでは埋まらない。アイマスのストレイライトの楽曲を聞いても渇きは満たされはしないのだ。

Apple TV+でテレビシリーズ化されると聞いたときも全く期待してなかった。いつも通り、どうせどこかでポシャると思ってたし、うまくいっても今風に改変されてガッカリするのがオチだ。見ない方が良かったと思わせる出来になるに決まっている。あの葡萄は酸っぱいに違いない。そう思っていた。

だが、アーミテジ役をマーク・ストロングが務めると聞いた時には衝撃を受けた。マーク・ストロングだ。マーク・ストロングしかない。クソっ。なんてことを思いつくんだ。私は解釈一致に震えている。虹村億泰に高木渉を当てたくらいぴったりだと思う。この配役を考え付いた制作陣はわかっている人たちだと思う。これだけでもう期待値がフルスロットルだ。

そもそもニューロマンサーなんて、手に取った人の95%が第一部・千葉市憂愁の途中で力尽きている作品である。そのような人たちにとってはアーミテジは謎の黒幕然とした男に過ぎない。アーミテジの悲しき全容はきちんと作品を読み込まないとわからない。また、この存在が作品のテーマにおいて重要であると考える人は希少だろう。少なくとも制作陣はその理解にいると思うし、それを決定権者を納得させることができる人たちなのだろう。

Armitage is Cyberpunk

私の「完全な独断」で言わせてもらえば、ケイスやモリイの配役なんてどうでもいい。ケイスは神経質そうな役者に自暴自棄にやらせればよく、モリイは適当にカッコいい女優を配すればそれでいい。だが、アーミテジの役はニューロマンサーの映像化での鍵になる。ここにマーク・ストロングを配したのは、メリハリをつけた大物の配役という点で驚愕だし、そのハマりぶりも素晴らしい。

そもそも、ニューロマンサーはキャラクターや人間を描いた作品ではない。あまり感情移入できない情緒の薄い人間がテクノロジーと状況に翻弄されるだけの物語だ。いわゆるキャラクターアークは乏しい。ケイスやモリイは人間として成長も変化もしない。ケイスは薬物中毒がちょっと良くなって終わる。モリイは良くも悪くも何も変わらない。目も見えないので感情もついぞわからない。だって見せてくれないんだもの。

また、サイバーパンクはしばしば「技術による人間の変容」を描いたジャンルであると表現される。その中でも、テクノロジー使役者のイメージが強いだろう。ケイスやモリイはずばりテクノロジーを活用する側の人間と言えいわゆるサイバーパンクのイメージそのもののキャラクターと言える。

だが、アーミテジはケイスやモリイと違う。テクノロジーと政治に翻弄され、悲劇的なキャラクターアークを描き、抗えない力に摺りつぶされる犠牲者だ。

あえて言おう、「アーミテジこそサイバーパンクを象徴するキャラ」だと。

スマートフォンが、かまぼこ板のごとくまき散らさ、小学生ですら持つこの現代で、オノ=センダイや電脳空間は魅力的なガジェットではない。デッキを駆るケイスも陳腐なハッカーのイメージを踏襲するだけだ。かつての鮮烈なイメージが、この40年で消費しつくされた。というべきか。

だが、「AIに人格を植え付けられ、AIに殺される元軍人」というイメージはどうだろう。これはヤバい。AGIの片鱗が見えてきた今だからこそ、現代的で、刺激的なモチーフと言える。この火傷しそうなほど過激なテーマは後続には全く受け継がれなかった。サイバーパンクの魅力は何か。酸性雨降りしきる東洋風のスラム街か。生体改造されたジャンキーか。否。否。それらは表層の表現に過ぎない。その本質は技術に翻弄された人間であり人格だ。だから、私は「アーミテジをサイバーパンクを象徴するキャラ」だと勝手に思っている。

アーミテジはどんな俳優がやるべきか

これは非常に難しい。前半の余裕たっぷりの黒幕感、過去の空虚、終盤の狂気を表現しなければならない。AIに翻弄されると言えば、現代的なテーマだが、「自分では抗えない何かに翻弄される」と捉えればこれは古いテーマでもある。

私の勝手な希望で言うと、ポール・ベタニーが良いかなと思っていた。ユナ・ボマーを描いたNetflixドラマ「マンハント」のクライマックス、心に虚無を抱えたユナ・ボマーの演技がアーミテジを思わせたからだ。だが、ちょっと軍人感が足らない。

ここでマーク・ストロングの配役はなるほど!と思った。キングスマンのマーリン役もクール&コミカルでいいが、駐英イラン大使館占拠事件を描いた「6 Days」の交渉役でのストレスフルな演技が思い当たった。極限的な状況を淡々とこなす姿、ポリティクスパワーに翻弄されつつも、仕事をこなそうとする姿はアーミテジと重なるところがある。軍人感もバッチリだ。

今からアーミテジの最期の「ボタンのようにうつろな眼」が、「蝙蝠のような姿での周回軌道」が今から楽しみでならない。

私はあのシーンがニューロマンサーで一番好きだ。
私の中では一番のクライマックスだ。

「やられた。繰り返す。オマハ・サンダーがやられた」
「冬寂、こんなのないぞ」

AIの言葉が人を殺す。主人公が感情と私利私欲が混然一体となった叫び声をあげる。これは2025年の今だからこそ、先進的なテーマと捉えられるだろう。いや、そうあってほしい。なんとか映像化をしきってほしい。そのときだけはAppleTV+に加入する気持ちくらいはある。

おまけ

リヴィエラはモデルのデビッド・ボウイを蘇生して狂気の演技をしてくれればそれでいいのだが、蘇生技術が間に合わなそうなのが残念だ。

おまけ2

一応ネタバレタグをつけた。40年前の作品だけども。

おまけ3

ニューロマンサー熱が再発したので、書評を書いた

どうでもいいネタも書いた


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