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【旅レポ】「ふふ熱海」というリゾートホテルの細部に感動した話


はじめに

つい先日、「ふふ熱海」に宿泊してきた。

個人的に「ふふ」についてあまり知らなかったのだが、どうやら界隈ではそこそこ有名なリゾートホテルらしい。「コンパクトラグジュアリー」がコンセプトのようだ。
今回は色々割引があって一泊4万円くらいのプランであったが、その体験価値は十分にあるものだと感じた。

この文章は、なぜそう思ったのか、個人的に良い意味で"目についた"点について書いてみたものである。(視点の参考になるかはわからないが、筆者はINTJ-Tである。)

結論として、このホテルは細部のこだわりが妙に高かったのだ。

ライティング

エントランス入ってすぐ、目に入るのは一輪の生花であるが、とても美しくライティングされているのが印象的だった。

非対称の美と机下の深い暗

他の場所もダウン系のライトと間接照明が主に使われており、明暗のメリハリを効いていた。
ライティングは、ただ対象物を照らせば良いわけではない。影(ネガティヴシェイプ)の重要性を教えてくれる照らし方であった。

客室の外観・入口付近

客室ごとに梅由来の表札が掲げられており、モダンデザインの中に個性を生み出している。
廊下から一つ奥まった扉の造りが高級感を与えている。

ここのライティングも美しい

ちなみに宅配ボックスのような仕組みがあり、電話でオーダーすると物を持ってきて入れておいてくれたり、交換して欲しいものを入れておくと交換してくれたりする。
顔を直接合わせたり、応対したりする手間が不要なこの現代的な仕組みが良いと思った。
もっと欲を言えば、電話ではなくQRコードを読み取ってメニューを選べる仕組みにしてくれたら120点。(電話苦手並感想)

露天風呂付き客室

露天風呂が付いている客室はそこまで珍しくはないが、良い点であるのは間違いないので一応取り上げる。

うん、エッチだ

驚異的にスムーズなカーテン

正直、これほどまでに開閉にスムーズなカーテンに今まで出会ったことがなかった。
「シャー」ではない、「ぬるー」という表現が正しい。

厚い電気系統、現代的な通信インフラ

コンセントの数がやたら多い。(念の為の注釈だが、悪目立ちという意味ではない。)
大抵の場合、良いホテルでも(であるが故に?)コンセントは限られた個数しかなく、場所もイマイチなことが多い。
しかし、ここでは欲しい場所に十分な数のコンセント(完全に空いている口としては6個以上)が敷設されている。

そして、枕元の電源にはなんと Type C の充電ポートが装備されていた。

家の枕元もこれにしたい…

Type A が装備されているのは最近だとまま増えてきたが、Type C が装備されているのは初めて見た。しかも1個どころではなく、少なくとも宿泊人数分は確保されていた。

さらに、この配線隠しである。

ブラインド機構と思われる毛

こんなブラインド機構、初めて見た。
(他の箇所も徹底的に"生活感"が隠されていた。)

WiFiの通信速度・電波強度も特筆できる点だ。
地方にあるリゾートホテルの場合、WiFiなどの通信インフラが貧弱であることが多い。
しかし、ここは2.4GHz帯の上限である60Mbpsが部屋の隅までしっかり出ていた

ビール無料、お風呂上がりの充実したラインナップ

ホテルの部屋の冷蔵庫には、よく有料のドリンク系が入っているが、このホテル、なんとビールまで無料なのである。もちろん追加やウイスキー系は有料なのだが、ビールまで無料なのには驚いた。

また、お風呂上がりのドリンク系のラインナップも非常に充実していた。
コーヒー牛乳、ビール、ポカリ、麦茶、水、そして梅シャーベットに抹茶アイスまでもが無料

梅シャーベットと抹茶アイス

もちろん、宿泊料に含まれていると言われればそれまでではあるのだが、こうした心理障壁に配慮した工夫が施されている点、同価格帯のホテルよりもワンランク充実させている点が評価できる

ゆったりリラックスしたいとき、なるべくお金のことは考えたくないもの。
そこへの配慮・気配りなのだ。

ディナー

料理も全体的に申し分ないクォリティだった。
料理そのものは他の人がレビューしていそうなので、ここではプラスアルファ的要素を取り上げる。

料理に合わせたペアリングドリンクメニューがある点が良かった
乾杯には地ビール、魚には白ワイン、肉には赤ワインを合わせたいとなるが、それぞれ選択肢が多くて迷ってしまう。
ペアリングメニューでは、選択肢がいくつか提案されているので、あれこれ迷わずに済む。

また、器にしっかりと季節感が出ておりセンスが良いと感じた。いちょう型の皿、そして写真を撮り忘れたが、真ん中の小鉢には兎の絵が描かれていた。(訪れた時期は初秋)
個人的に前菜で重視するのは季節感であるので、そこが器レベルから表現されている点が良かった

秋の訪れを伝える前菜

同じシーンを繰り返さない

ここが個人的には最も感動した点で、今回レビューを書こうと思う気になったきっかけである。
このホテル、徹底的に「同じシーンを繰り返さない」のだ

冷蔵庫のビール(麒麟)、お風呂上がりのビール(アサヒ)、ディナーのビール(静岡地ビール)、すべて異なる銘柄が選択されている。

また、今回のプランでは部屋にフルーツの盛り合わせを持ってきてもらえる特典が付いていたのだが、このフルーツたち、全部ディナーに出てこなかったフルーツたちなのだ。

  • ディナー:巨峰(with 前菜)、無花果(with 焼物)、マスカット(with 甘味)

  • フルーツ盛り合わせ:メロン、パイナップル、グレープフルーツ、オレンジ、ブルーベリー、ラズベリー

そして朝食の水菓子も別のフルーツだった。

  • 朝食の水菓子:スイカ

また、ウェルカムサービス、夕食、朝食はすべて同じ料亭を利用して行われるが、それぞれで用いられる部屋は異なっており、ここでもやはり”ダブり”が排除されていた。

ここまで徹底しているのは、もはや意図的であると思わざるを得ない。
五感的な同じシーンの繰り返しは、はっきりとした自覚を伴わなくとも、どうしても感動が薄れてしまうものだ。
そういったことをなるべく発生させないよう、常に五感に刺激を与える工夫がなされている、その設計に感動したのである。

終わりに

「ふふ」は日光や京都、奈良などにもあるらしい。
また、「ふふ熱海」の中でも各部屋内装が全く違うようだ。
改めてまた行きたいと思える素晴らしい宿であった。

客室へ続く廊下から見た庭園

(おわり)

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