「仕事ができる人」と「出世する人」の関係は?

仕事ができる≠出世する?

「なんで仕事のできないあの人が仕事のできる○○さん(自分?)より早く出世するんだろう?」・・・こんな発言を言ったり聞いたりしたことは、組織に関わる多くの人があるのではないでしょうか?
このような発言の裏には、必ずしも「仕事ができる人」と「出世する人」が一緒ではないと多くの人が思っていることがあると考えられます。
そこで、「DoubRingで考える」今回のテーマは「仕事ができる人」と「出世する人」との関係です。今回は言葉同士ではなく人の集合同士という問いにしましたが、要はここで問いかけているのは「仕事ができる」という概念と「出世する」こと(こちらは事実)との関係です。
これまでは「概念と概念との関係性」でしたが、今回は「概念と事実の関係」という点で少し異なりますが、いずれにしても概念(今回は「仕事ができる」)の多様性を考えるという点ではこれまでのDoubRingの事例と同様です。

例によって、皆さんは「仕事ができる人」と「出世する人」の関係を最もよく表していると思えるものを9パターンの中から選んでみてください。ただし今回は①現状そうなっていると②本来はこうあるべきであるという2つの状況を想定して選んでみて下さい。いま組織で働いている人はそこで考えても良いし、そうでない人は世の中一般の話として考えてもらっても結構です。

9パターン白黒

さて皆さんの選んだパターンはどれだったでしょうか?
例によって実際に過去に取ったデータを示して皆さんの結果と比べてもらいたいと思います。ただし今回のデータは、オンラインスクール「Schoo」にて2018年2月に行ったオンライン授業「自分の仕事に対する価値観を考える - DoubRingで向き合う自身と他者の働き方-」https://schoo.jp/class/4834
の前に参加者に回答いただいた結果です。
サンプル数は32名と少ないので、必ずしも各々のパーセンテージ自体の信頼性は高くありませんが、大きな傾向をつかむという観点では一つの参考にできると思います。少数の回答でもすでに答えがばらついているというのもDoubRingからのいつものメッセージです。また同一の回答者が現状とあるべき姿について回答しているので、これらの間のギャップについてはある程度参考になるでしょう。

20200502_DoubRing出世仕事

「現状」と「あるべき姿」にギャップがあるのは?

いくつか具体的なパターンを取り上げて考えてみましょう。
特に現状とあるべき姿にギャップがあるものに関して考察してみます。

パターン3,5,6に関しては「あるべき姿」の方が数字が大きくなっています。現実にはそうではないがそうあって欲しいという感覚でしょうか。この中で、必ずしも仕事ができるからといって出世するわけではないが、出世した人は皆仕事ができる人であって欲しいというのがパターン3です。

そしてやはり「予想通り」というか、「仕事ができる」=「出世する」が完全に重なるというパターン6も、あるべき姿よりも現実ははるかに少ないという結果も理解できます。

「仕事ができる」とは?

このような結果を踏まえて、「仕事ができる」という言葉を私たちがどのようにとらえているかを考えてみましょう。

ここまでサンプルは少ないながらも実際のデータを参考に勝手な解釈を進めてきましたが、DoubRingの根底にあるのは、言葉の解釈が人によって異なることです。つまり回答のばらつきの大きな原因の一つは、そもそも「仕事ができる」とはどういうことかの定義が人によって異なるということです。

もしかするとパターン6の「両者が完全に一致している」回答が現状にもあるのを見て、「上司のご機嫌を取るんじゃなくて、仕事が正当に評価されることで出世が決まる会社はうらやましい」と思った人がいるかも知れません。その通りかも知れませんが、実は少し違う解釈もできます。

パターン6を選ぶ人は「そもそも仕事ができるかどうかは結果で判断されるべき」と考えている可能性があります。
組織においての結果とは、売上を上げるとか顧客の信頼を得るといった対外的なものに加えて、対内的であれば評価の象徴として出世することだと考えれることもできます。そうであれば、出世した=結果を出した=仕事ができるという定義もありうるわけです。

とかく企画アイデアを出せるとか、売上目標を毎回達成するとか、プレゼンテーションがうまいとか、そういう人が「仕事ができる人」という印象があるかも知れません。ところが結局組織である以上、それなりのポジションにつかなければ権限もなく結果を出すことも難しくなります。
そう考えれば、「仕事ができる」=「(どんな手段を使おうが)結果として出世した人」という定義だって十分に成り立つことになります。

同じような話は「頭の良い人」と「仕事ができる人」の関係でも同様にあてはまります。よく「あの人、頭は良いんだけど仕事はできないんだよね」という言葉を聞いたりしますが、先の定義の違いに戻れば、それは単に「頭が良い」という言葉の定義が人によって異なっているだけということも言えるのです。

このようにDoubRingは「実は定義が違うまま」行われているコミュニケーションを可視化することができるのです。

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