Beatrice ジャズスタンダード深堀り : リズムラボ
今回の記事では、1964年に作曲されたジャズ曲の"Beatrice (ベアトリス)" について深堀りしていこうと思います。
1923年生まれのアメリカ合衆国・オクラホマ出身でサックス奏者で作曲家の "Sam Rivers (サム・リバーズ)" が1964年に発表したリーダーデビューアルバム『Fuchsia Swing Song』に収録されていた一曲が "Beatrice" でした。
ドラマーは Tony Williams。
56年間妻と連れ添ったリヴァースは夫人よりも7年長生きしました。この曲から二人の愛の長さがよくわかると評されています。
1964年という時代
1964というと、ちょうど日本で東洋初開催となる東京オリンピックが開催された年で、アメリカではジョン・F・ケネディ氏が暗殺された翌年となり、大統領選挙で民主党のジョンソン氏が当選しました。
ここから80年に向けては、アフリカ系アメリカ人による公民権運動が継続し、ベトナム戦争が深刻化してその反対運動が起こり、また冷戦が継続した中で、人間を初めて月へ送り込むことになる。
そんな中で生まれた楽曲の一つが Beatrice です。
ドラマーから見る Beatrice
先に紹介した音源も、名ドラマーのTonyが参加する作品でした。
ここからは更に様々なドラマー達による録音を見て行こうと思います。
ドラマー Elvin Jonesのスタジオ録音
ブラシでのプレイに始まる。エルヴィンらしく「バネ」を感じる楕円形のリズムが楽曲全体をリズミカルに揺すります。
Damon Reid のスタジオ録音
7/8拍子で展開されるBeatrice。終始引き算で彩られたドラミングからは相当なセンスを感じます。座りながら興奮する。そんな録音です。
Al Fosterのスタジオ録音
Jazz 8beatとSwingが行き来する録音です。軽快なswing感が堪能できる録音です。
Jack de Jonetteのスタジオ録音
ドラマーJack de Jonetteの録音。地に足がついた堂々としたSwing感で全体を支えます。ピアニストでもある彼らしいドラミングはこの録音でも健在です。
おわりに
ジャズ曲の Beatriceを深堀りしてきましたが、いかがでしたでしょうか。
ジャズ曲としては比較的新しめな楽曲ですが、様々な音楽家に愛されその楽曲が育まれてきました。
57年経過した今でも愛されている楽曲。素敵ですね。
今から57年後。今年生まれた度の楽曲がその時代の音楽家に演奏されているのか。楽しみです。