Joy Spring ジャズの深堀 : リズムラボ
トランペット奏者 Clifford Brown (クリフォード・ブラウン) 作曲のジャズ曲、”Joy Spring” を今回は深堀していこうと思います。
この曲は1954年にロサンゼルスで録音されたアルバム「Clifford Brown and Max Roach」に収録されています。
ドラマーは勿論Max Roach (マックス・ローチ) 。
この曲名はクリフォード夫婦のペットの名前から引用したそうです。
Jazz vs the Art
後にブラウンと結婚するラルー・アンダーソンは、南カリフォルニア大学でクラシック音楽を専攻していました。
ジャズの理論、ビバップのアーティキュレーションやフレージング、半音進行や三音置換などの音楽的特徴を知らない彼女は、"Jazz vs the Arts "と題した論文を書き始めます。
結果的に恋のキューピットとなったマックス・ローチは、ラルーにこのように伝えたと言われています。
「世界はトニックとドミナントだけで成り立っているわけではないんだよ」
この話を聞いた彼女はジャズに深く興味を持つようになったのだそうです。ブラウンとマックスの近しさがうかがえるストーリーですね。
マックス・ローチがこの様に言葉で音楽を言い表せるその聡明さに感動を覚えます。
Arranged by Montrose of Jack Montrose
モントローズによってアレンジされたJoy Spring。
テーマのハーモニーの重厚さが一風変わったJoy Springを響かせてくれます。
Oscar Peterson trio with Ray Brown
ピアノ奏者のオスカー・ピーターソンのトリオの録音。
ドラムレスの録音で緩やかなテンポながら川の底を重く流れる様なリズムのウネリを感じます。
録音に入っている演奏者の唸り声はキース・ジャレットへのつながりを感じ、途中の赤ちゃんの泣き声が入っている部分もきっと愛嬌なのでしょう。
録音の場を想像したくなる音源です。
Lem Winchester with Ramsey Lewis Trio
ビブラホン奏者レン・ウィンチェスターの録音。鍵盤打楽器が響き、ピアノ・ベース・ドラムが絡み合う録音。
軽快なテンポのスイング・ジャズが聞けます。
Joe Pass
ギター奏者のジョー・パスの録音。
ギターという楽器の特徴から来る、フレーズを楽しめる録音です。
Stan Getz
サックス奏者スタン・ゲッツの録音。
サックスの伸びやかな響きに調和させたであろうテンポ感が全体の響きを彩ります。
Freddie Hubbard
トランペット奏者、フレディ・ハーバードの録音。
この音源には打楽器のコンガが取り入れられリズムの雰囲気をかえてくれています。
Larry Coryell And Emily Remler
ギター二本だけの録音。
二人のJazzへの情熱を感じる録音です。
Buddy Rich
ドラマーバディ・リッチのビックバンドでのライブ録音。
バディらしいフレーズが連発していますね。
Jo Jones
ドラマー、ジョー・ジョーンズ参加のライブ録音。トランペットはクリフォード。
おわりに
ジャズの名曲、Joy Springについて深堀してみましたが、いかがでしたでしょうか。
この曲のエピソードからドラマーのマックスとクリフォードの近しさを感じる事が出来たことや、バディ・リッチのビッグバンドアレンジを知ることが出来た事は今後の宝物になりそうです。
マックス・ローチの記事、近々続きを書こうと思います。